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古い実家は解体してから売る?古家付きのまま売る?判断の順番

実家を手放すと決めたあとに必ず現れるのが、建物を壊してから売り出すか、古家が建ったままで売り出すかという分かれ道です。解体は数十万円から数百万円が動く支出で、しかも一度壊せば元に戻せません。磐田市・袋井市・森町では、同じ築年数の家であっても、前面道路の幅、隣地との境界、敷地に農地が混じっているかどうかで答えが逆になります。このページは、解体を先に決めてしまわないための確認の順番を五段階に分けて並べます。判断が割れる理由、建物の状態と買い手の顔ぶれ、費用と価格差の引き算、固定資産税と譲渡所得の取扱い、そして地区と季節の事情です。読み終えたときに、自分の家がどちらへ寄っているかと、次に誰へ何を聞けばよいかが決まっている状態を目指します。

古い実家は解体してから売る?古家付きで売る?判断材料7つについて家族が資料を確認し、次の順番を話し合う写真風イメージ

まず結論

解体するかどうかを最初に決めないでください。順番は、名義と相続人、土地の条件(接道・境界・地目)、建物の状態と内見の可否、解体費と想定価格の両方の見積り、そして売り方の決定です。解体契約はいちばん最後に置きます。更地にすると住宅用地の特例が外れる一方、放置して勧告を受けた場合にも特例から外れる取扱いがあり、壊す・壊さないのどちらかが常に有利ということはありません。相続した空き家の特別控除を使う可能性があるなら、解体の時期と契約書の書き方が結果を左右するため、売買契約の前に税理士へ相談してください。

古い実家は解体してから売る?古家付きで売る?判断材料7つで重要品を示すピクトグラム
重要品古い実家は解体してから売るで最初に見る「重要品」
古い実家は解体してから売る?古家付きで売る?判断材料7つで家族確認を示すピクトグラム
家族確認残す物の合意を記録
古い実家は解体してから売る?古家付きで売る?判断材料7つで解体前確認を示すピクトグラム
解体前確認土地条件と費用を先に整理
古い実家は解体してから売る?古家付きで売る?判断材料7つで搬出計画を示すピクトグラム
搬出計画物量・経路・分別を見積りへ

「更地にした方が売れる」と「今のまま出そう」が両方出てくる理由

同じ家に対して助言が食い違うのは、前提にしている条件が違うからです。この章では、解体を最後に回すための順番と、その順番を崩すと何が起きるのかを扱います。

片方の会社は「更地にした方が早く売れます」と言い、もう片方は「今のまま出しましょう」と言う。どちらかが間違っているというより、前提にしている条件が違うために結論が割れます。前提は主に三つです。壊したあとにその土地へ改めて建物を建てられるのか。想定している買い手は自分で住む人なのか、建てる人なのか、買い取って再販する事業者なのか。そして解体費を誰がいつ支払うのか。この三つを言葉にしないまま結論だけを並べても、話は前へ進みません。相談する側から先に「どの前提で言っていますか」と尋ねると、助言の中身が具体的になります。

解体には、他の判断にはない性質があります。やり直せないということです。更地にしてから前面道路の幅や接し方が足りないと分かった場合、その土地には原則として新しい建物を建てられません。ところが古家が建ったままであれば、既存の建物を直して使うという買い方が残っていました。壊した瞬間にその選択肢が消え、声をかけられる買い手の層が一気に狭まります。裏返せば、壊してから困る事柄のほとんどは、壊す前に調べられる事柄です。調べるのに必要なのは主に時間で、費用はほとんどかかりません。

順番を先に決めておくと迷いません。第一に名義と相続人。第二に土地の条件、つまり接道、境界、登記地目、私道の持分、上下水道の引き込みの有無。第三に建物の状態と、人が中に入れるかどうか。第四に、解体費の見積りと想定価格の見立てを両方そろえること。売り方を選ぶのはそのあとで、解体工事の契約書に署名するのはいちばん最後です。この順番を崩すと、支出だけが先に確定して、残った選択肢の中から選ぶことになります。逆に順番さえ守れば、途中で気が変わっても引き返せます。

名義の確認を後回しにすると、そもそも解体の発注者が誰なのかが定まりません。登記が先代のままであれば、まず戸籍をたどって相続人を確定する必要があります。相続登記には申請の義務があり、期限の考え方や経過措置は法務省の案内に整理されています。遺産分割の話し合いがまとまらない場合に備えて、相続人であることを法務局へ申し出る相続人申告登記という手続きも用意されています。必要書類や自分の場合の当てはめは、司法書士か法務局の窓口で確認してください。ここが未確定のまま解体の日程を先に押さえると、工事の直前で止まります。

解体を急ぐ理由が、売り方ではなく安全にあることもあります。台風で瓦が落ちた、外壁が剥がれて隣の駐車場へ飛びそうだ、庭木が道路へ張り出して通学路をふさいでいる。この場合に必要なのは建物を全部壊すことではなく、危ない部分を止めることです。屋根の応急処置、飛散防止のシート、枝の剪定、傾いたブロック塀の撤去。安全の是正と、売却方法としての解体は、費用の出どころも判断の期限も別のものとして扱ってください。近隣から連絡が来た日のうちに全部解体を決める必要はありません。

一方で、先に解体した方がよいことが早い段階ではっきりする家もあります。床が抜けていて中を歩けない、屋根が落ちて雨が入り続けている、火災の跡が残っている、動物が住み着いて案内できる状態にない。買い手は、見られないものに値段を付けられません。内見できない家を古家付きのまま売り出すと、問い合わせが入らないまま価格だけが下がっていきます。これは写真では判断できないので、必ず現地で、できれば家族以外の第三者と一緒に中を見てください。危険があると感じたら無理に立ち入らないでください。

この章で決めるのは、解体するかどうかではありません。何を調べるか、誰に聞くか、いつまでに答えをもらうか、の三つです。調べる項目は次の章から具体化しますが、先に紙へ書き出しておくと効果があります。訪問してきた業者から「今月なら安くできます」と言われたときに、まだ決められない理由を家族へその場で説明できるからです。急かされて署名した解体の契約を後から取り消すのは、調べる時間を数週間取ることよりもずっと難しくなります。

調べた結果は、必ず日付と出所を付けて残してください。市の窓口で聞いた、法務局で取った、業者から口頭で聞いた、という区別が後で効いてきます。相続人が複数いる場合、同じ話を何度も別々の人へ説明することになりますが、記録が一枚あれば説明が一回で済みます。結論が変わったときも、以前の版を消さずに残しておくと、なぜ判断が動いたのかを家族へ示せます。

  • 登記名義人と相続人が確定しているかを最初に確かめる
  • 前面道路の種類と幅員、敷地の接し方を市の建築担当窓口で確認する
  • 境界標が現地にあるか、越境がないかを写真で残す
  • 建物の中に入れるか、買い手を案内できる状態かを現地で判定する
  • 解体の見積りを取るのは、右の項目を確認したあとにする

図1解体を決める前に通す五つの関門

解体を決める前に通す五つの関門上から順に通していく確認の並びです。前の関門が未確認のまま次へ進むと、後から前へ戻る作業が発生します。四つ目まで終わっていない段階で解体工事の契約書に署名しないでください。1名義と相続人を確定する登記事項証明書で所有者と持分、抵当権の有無を確認する。先代名義なら戸籍で相続人を確定し、相続登記の進め方を司法書士か法務局へ相談する。2土地の条件を調べる前面道路の種類と幅員、接している長さ、境界標の有無、登記地目、私道の持分、上下水道の引き込み。更地にしたときに建てられる土地かどうかがここで決まる。3建物を見て内見の可否を判断する屋根、外壁、床の傾き、雨漏りの跡、床下、給排水。人を案内できる状態か、残置物で室内が見えない状態かを現地で確かめる。4解体費と想定価格を両方そろえる解体の見積りは複数社から同じ条件で。更地の想定価格と古家付きの想定価格も併せて出してもらい、手取りの形に直して並べる。5売り方を決めてから発注する売り方が決まってはじめて解体の要否と時期が決まる。工事の契約はこの段階で結ぶ。税の取扱いが関わるなら署名の前に税理士へ確認する。安全上の応急処置は、この五段階とは別枠で先に進めてよい。全部解体と混ぜないこと。
上から順に通していく確認の並びです。前の関門が未確認のまま次へ進むと、後から前へ戻る作業が発生します。四つ目まで終わっていない段階で解体工事の契約書に署名しないでください。

建物の状態と、その家を買う人の顔ぶれで答えが決まる

古家付きで売れるかどうかは、建物の古さそのものではなく、その家を買う人がどう見るかで決まります。この章では買い手を三つに分け、それぞれが何を見ているかを整理します。

実家に興味を持つ人は、大きく三つに分かれます。自分や家族が住むために買う人、建て替えるために土地として買う人、そして買い取って手を入れ再販する事業者です。同じ古家を見ても、この三者の見ているところはまったく違います。住む人は屋根と水回りを見ます。建てる人は建物をほぼ見ずに土地の形と道路を見ます。事業者は残置物ごと引き取る前提で、工事にいくらかかるかを見ます。どの層に届けたいのかが決まらないうちに解体を決めると、いちばん値段を付けてくれた層を自分で消してしまうことがあります。

自分で住む人にとっては、その家が今後も住宅として使えるかどうかが焦点です。見るのは、昭和五十六年六月以降に建築確認を受けているかどうか、雨漏りの跡、基礎のひび、白蟻の被害、給排水管の状態、電気容量。住宅ローンを使う場合は、金融機関が築年数や担保の評価をどう見るかも関わります。ここは金融機関ごとに扱いが異なるため、買い手側の事情として売主が断定はできません。ただ、耐震改修や断熱改修の補助制度がある地域では、古家をあえて選ぶ層が確実に存在します。

建て替える目的で買う人は、更地でなくても検討できます。解体費を自分の資金計画へ組み込み、土地の価格から差し引いて考えるからです。この層にとって重要なのは、建てたい建物が建つ土地かどうかです。接道、幅員、用途地域、建ぺい率と容積率、高低差や擁壁の有無。古家が建っていること自体は障害になりません。障害になるのは、解体費がいくらか分からないことと、工事の段取りを自分で組む手間です。ここに見積りを一枚添えられると、古家付きのままでも話が進みます。

買取をする事業者は、残置物が残ったままの現況で引き取ることができます。片付けも解体も相手が行うため、売主の手間と持ち出しは最小になります。その代わり、価格は一般の買い手に売る場合より下がるのが通常です。早さと確実さを買っているという理解が要ります。相続人が遠方に散っている、期限が決まっている、片付けに行く体力がない、といった事情があるなら、この選択肢を最初から外さないでください。ただし、買取の金額だけで決めず、必ず他の売り方の見立ても並べて比べます。

建物の状態は、次の順で見ると抜けが減ります。まず外から屋根、雨樋、外壁、基礎、そして敷地の四方。次に中へ入り、天井のしみ、床の傾き、建具の建て付け、水回り、床下点検口。遠州の冬の空っ風と台風は、屋根材と雨樋を確実に傷めます。棟の漆喰が崩れている、雨樋が外れて外壁に筋が付いている、という家は多く見かけます。写真は同じ角度で撮っておくと、後で業者へ送るだけで概算の相談ができます。危険を感じる箇所には近づかず、屋根に上がらないでください。

見落としやすいのが、母屋以外です。離れ、車庫、農機具小屋、物置、井戸、浄化槽、ブロック塀、門柱、庭石、大きく育った樹木。母屋だけ壊しても、これらが残っていれば土地は更地になりません。解体の見積りを取るときも、売り出しの写真を撮るときも、敷地の簡単な図を描いて、建っているものを全部書き込んでから始めてください。未登記の付属屋が課税明細にだけ載っている、というのもよくある形です。

残置物の量は、古家付きで売れるかどうかを左右します。室内が物で埋まっていると、内見のときに部屋の広さも状態も伝わりません。ここで注意したいのは、家財の処分と建物の解体は法律上の区分が違うということです。家財として出るものは原則として一般廃棄物にあたり、市町の区分と許可を受けた事業者のルールに従います。解体工事で出る木材やコンクリートは産業廃棄物として工事側で処理されます。両方を一社にまとめて任せる場合も、どちらの区分で誰が処理するのかを見積書の上で分けて示してもらってください。

  • 自分の家がどの買い手の層に届きそうかを一度言葉にする
  • 外周と各部屋を同じ角度で撮影し、撮影日を残す
  • 敷地図に母屋以外の建物、井戸、浄化槽、塀、大木を書き込む
  • 室内を案内できる状態かどうかを、片付け前と片付け後で分けて考える
  • 家財の処分と解体工事の処理区分を見積書の上で分けてもらう
同じ古家でも、買い手の型によって見るところが変わる
買い手の型古家をどう見るか売主側でそろえておきたいもの
自分や家族が住む人住宅として使い続けられるか。屋根、雨漏り、水回り、耐震の年代建築時期が分かる資料、修繕の履歴、内見できる状態
建て替えるために買う人建てたい建物が建つ土地か。解体費がいくらで、いつ更地になるか接道と幅員の確認結果、境界の状況、解体の概算見積り
買い取って再販する事業者現況のまま引き取り、工事にいくらかかるか。権利関係が整うか登記事項証明書、公図、相続の進み具合、引渡し可能な時期
隣地の所有者や近隣自分の土地と一体で使えるか。境界と越境が片付くか境界標の写真、越境物の状況、分筆の可否についての整理

解体費と価格差は、同じ一枚の紙の上で引き算する

比べるのは売り出し価格ではなく、手元に残る金額と、そこへ至るまでの時間です。この章では、見積りの取り方と、追加費用が出やすい範囲の聞き方を扱います。

比較の形はいたって単純です。更地で売った場合の想定価格から、解体費、追加で出た費用、更地になってから売れるまでの保有費用を引く。古家付きで売った場合の想定価格から、必要な片付け費用と、そのまま持ち続ける間の費用を引く。この二つを並べます。よくある失敗は、査定額の差をそのまま手取りの差だと思ってしまうことです。更地の方が二百万円高い、という言い方には、解体費も、売れるまでの期間も、税の変化も入っていません。同じ土俵に載せてから比べてください。

解体の見積りは、複数の会社から、同じ条件で取ります。同じ条件というのは、対象の建物を全部そろえること、残置物をどう扱うかを統一すること、現地を見てもらうことの三つです。電話とメールだけの概算は、比較には使えません。坪単価の提示だけで比べるのも危険です。同じ家に対する総額が会社によって大きく違うことは珍しくなく、その差の多くは、含めている作業の範囲の違いから生まれます。書面で、項目ごとの内訳を出してもらってください。

追加になりやすい範囲は、先に聞いておけば聞けます。残置物、ブロック塀と門柱、庭石と庭木、カーポート、物置、浄化槽の撤去、井戸の埋め戻し、地中に残る古い基礎やコンクリートがら。道路が狭くて重機やダンプが入らない現場では、手作業の割合と小運搬が増えて費用が上がります。掛塚のような旧集落の細街路では、前面に車を止められるかどうかから確認が必要です。地中の状況は掘ってみるまで分からないため、見積り段階では「出た場合にどう連絡し、いくらまでなら進めてよいか」を決めておくのが現実的です。

内訳の見方にも型があります。一般に見積書は、仮設と養生、建物本体の解体、基礎の撤去、廃棄物の運搬と処分、整地、そして諸経費に分かれます。会社によって項目のまとめ方が違うので、三社分を並べるときは自分で同じ行に並べ替えてください。とくに廃棄物の運搬と処分は総額に占める割合が大きく、ここを一式でまとめている見積りは、後から量が増えたときの説明が難しくなります。基礎をどの深さまで撤去するのか、整地はどの程度の仕上げかも、言葉で書いてもらってください。

解体には工事そのもの以外の段取りもあります。一定規模以上の建築物を壊すときは、建設リサイクル法にもとづく届出が原則として必要で、これは発注者の側で行う手続きとされています。石綿については、解体に先立つ事前調査が求められ、規模などに応じて結果の報告が必要になる場合があります。ほかに、道路を使う場合の許可、近隣への挨拶と説明、水道メーターの扱い、電気とガスの停止と引込線の撤去。どこまでを業者が代行し、どこからが自分の役割なのかを、契約前に一覧で確認してください。

工事が終わったら登記が残ります。建物を取り壊したときは、原則として一か月以内に建物滅失登記を申請することとされています。手続きを担うのは土地家屋調査士で、工事会社からは取壊し証明書や会社の登記事項証明書などを受け取ることになります。どの書類をいつ渡してもらえるのかは、解体の契約を結ぶ前に確認しておいてください。滅失登記が済んでいないと、土地だけの売買を進めるときに登記上は建物が残ったままになり、決済の直前で慌てることになります。

支払いの時期も比較の一部です。解体費を自分の現金から先に出す場合、その資金が売却代金で戻るまでには数か月かかることがあります。売却の相手が決まってから解体する、決済と同時に精算する、買主が解体を引き受ける代わりに価格で調整する、といった組み方もあります。どれを選べるかは、買い手の事情と契約条件しだいです。宅地建物取引士に、どの形が現実的かを最初の相談の段階で聞いておくと、資金繰りの見通しが立ちます。

解体費と価格の上昇分は一致しません。百五十万円かけて更地にしたから百五十万円高く売れる、という関係にはならないのが普通です。地域と土地の広さによっては、更地にしても価格がほとんど動かないこともあれば、買い手の層が広がって早く決まることもあります。反対に、古家付きのままでも「解体費相当を差し引いた価格で」という交渉の形になることが多く、実質的には似た着地になる場合もあります。だからこそ、金額を一点で持たず、上限と下限の幅で持ってください。

最後に、比較表は家族全員が同じものを見られる場所へ置いてください。相続人が複数いると、誰かが業者の話を聞いてきて条件が変わる、ということが起きます。項目と前提をそろえた一枚があれば、新しい情報が入ったときに、その欄だけを更新して差を確認できます。空欄は不利という意味ではなく、まだ調べていないという印として扱ってください。

  • 解体費、追加費用、保有費用まで引いた手取りで二つの案を比べる
  • 同じ条件で三社程度から現地見積りを取り、内訳を書面でもらう
  • 残置物、塀、庭石、浄化槽、井戸、地中埋設物の扱いを明記してもらう
  • 追加が出たときの連絡方法と、承認する金額の上限を決めておく
  • 工事後に受け取る書類と、滅失登記の担当を契約前に確認する

図2解体の費用と段取りは、一社では完結しない

解体の費用と段取りは、一社では完結しない解体を一社に任せても、届出、登記、値付けはそれぞれ別の立場が担います。誰の担当かを取り違えると、工事のあとで手続きが止まります。自分が動く必要のある部分を先に把握してください。実家の解体と売却見積り・届出・登記・値付けが別々の相手にまたがる解体工事業者現地を見て内訳付きの見積りを出し、工事と廃棄物の処理を担う。含まれる範囲と、追加になり得る範囲を書面で示してもらう。発注者である所有者建設リサイクル法にもとづく届出は、原則として発注者の側で行う手続きとされている。代行を頼む場合も、名義と責任は自分側に残る。土地家屋調査士取り壊し後の建物滅失登記を担う。原則として取壊しから一か月以内の申請とされているため、工事完了の連絡と同時に動けるようにしておく。不動産会社の宅地建物取引士更地と古家付きの両方で想定価格と売れるまでの期間を出す。解体費の負担を誰が持つ形にできるかも、この段階で相談する。工事する届け出る登記する値を付ける税の取扱いは、この四者のいずれの担当でもない。適用の可否は税理士か税務署へ。
解体を一社に任せても、届出、登記、値付けはそれぞれ別の立場が担います。誰の担当かを取り違えると、工事のあとで手続きが止まります。自分が動く必要のある部分を先に把握してください。

壊した翌年から効いてくる税と、売った年に効いてくる税

税は二種類あり、時期も担当も違います。持っている間の固定資産税・都市計画税と、売った年の譲渡所得です。この章では、どちらがいつ動くのかを分けて整理します。

まず切り分けます。建物を壊すと変わるのは、翌年度からの固定資産税と都市計画税です。売ったときに関わるのは、その年の譲渡所得の計算です。この二つを混ぜて「解体すると税金が高くなる」とだけ覚えていると、判断を誤ります。前者は持ち続ける間ずっと効き、後者は売った一回だけ効きます。どちらも金額の断定はこの記事ではできませんので、実額は市町の資産税担当と税理士に当てはめてもらってください。

住宅が建っている土地には、固定資産税と都市計画税の課税標準を軽くする住宅用地の特例という取扱いがあります。原則として、住宅一戸あたり二百平方メートルまでの部分と、それを超える部分とで軽減の度合いが変わります。建物を取り壊して更地にすると、この特例の対象から外れることになります。土地の税額が上がる一方で、建物に課されていた分はなくなります。差し引きでいくら変わるのかは土地の評価額と面積によるため、市町の資産税担当へ具体的に尋ねるのが確実です。

見落としやすいのが判定の時点です。固定資産税は、原則として毎年一月一日の状況を基準に課税されます。つまり年内に解体を終えるか、年が明けてから着工するかで、翌年度の課税が変わり得るということです。ただし、建て替え中の土地についての取扱いなど例外もあり、扱いは市町によって異なります。売却の日程が決まっているなら、決済日と解体日のどちらを先にするかを含めて、早い段階で資産税担当へ相談してください。数日の違いが一年分の差になることがあります。

では壊さずに置いておけば安全かというと、そうとも限りません。空家等対策に関する法律にもとづき、管理が行き届かない状態が続いて特定空家等や管理不全空家等と判断され、市町から勧告を受けた場合には、住宅用地の特例の対象から除外される取扱いがあります。つまり、建物が建っていても土地の税が上がる場面があるということです。壊す・壊さないのどちらかが常に有利という前提は成り立ちません。草刈りや通気、屋根の応急処置といった管理を続けているかどうかが、ここで効いてきます。

売ったときの税は、譲渡所得の計算で決まります。売却代金から、取得費と譲渡費用を引いた残りが対象になります。相続で引き継いだ家は、原則として親が取得したときの金額を引き継ぎますが、購入時の契約書が見つからないことは多く、その場合の取扱いは別に定められています。売るために建物を取り壊した場合の解体費が譲渡費用に含まれるかどうかは、条件によって扱いが分かれます。ここは自己判断せず、税理士か税務署に、自分の事実関係を示して確認してください。

相続した家を売る場面では、被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除という制度があります。要件は細かく、昭和五十六年五月三十一日以前に建築された家屋であること、区分所有建物でないこと、相続が始まる直前に被相続人が一人で住んでいたこと、譲渡の対価が一定額以下であること、そして耐震基準に適合させるか取り壊して土地として引き渡すこと、といった条件が並びます。適用できる期間にも定めがあります。当てはまるかどうかの判断は税理士か税務署へ渡してください。

この制度を検討するなら、解体の時期と契約書の書き方が結果を左右します。誰がいつ取り壊すのか、引渡しの時点で建物が残っているのか、といった事実がそのまま要件の当てはめに関わるからです。売買契約を結んだあとで税理士に相談し、条件が合わなかった、という順番はいちばん避けたい形です。売り方を決める段階、遅くとも契約書の文案を見る段階で、税務の確認を一度挟んでください。相談の際は、登記事項証明書、課税明細、被相続人の住民票の除票など、事実を示す資料を持参すると話が早く進みます。

  • 固定資産税の変化と、売却時の譲渡所得を分けて考える
  • 解体の時期が一月一日をまたぐかどうかを市町の資産税担当へ相談する
  • 管理不全のまま放置した場合の取扱いも併せて確認する
  • 親が購入したときの契約書や領収書が残っていないかを探す
  • 特別控除を検討するなら、売買契約の文案を作る前に税理士へ相談する
壊す・壊さないで、税の場面がどう変わるか(実額と適用は各窓口へ)
場面古家付きのまま持つ・売る解体して更地にする
翌年度からの土地の固定資産税住宅用地の特例が原則として適用される。ただし勧告を受けた場合は除外される取扱いがある特例の対象から外れる。一月一日時点の状況で判定されるため着工時期が影響し得る
建物に対する課税建物の分の課税が続く建物の分はなくなる。滅失登記と市町への連絡が前提
売ったときの費用の扱い仲介手数料などが譲渡費用の対象。解体費は発生しない売るための取壊し費用の扱いは条件による。税理士へ確認
相続した空き家の特別控除耐震基準に適合させる形での適用が検討対象になり得る取り壊して土地として引き渡す形での適用が検討対象になり得る

磐田・袋井・森町では、地区と季節で答えが変わる

同じ市内でも、旧集落と新しい住宅地では前提がまるで違います。この章では地区ごとの事情と、工期や補助の申請時期といった季節の要素を扱います。

商圏の中を見渡すと、実家の置かれ方は一様ではありません。区画の整った住宅地、旧街道沿いの古い集落、堤防に近い低地、宅地の隣に畑が続く地域、丘陵の茶園に囲まれた集落。土地の値段だけでなく、工事の入りやすさ、買い手の探し方、確認すべき法令の種類までが変わります。一般論として「築四十年なら解体」と言われても、それは自分の家の話ではありません。まず自分の家がどの型に近いかを決めてから、他の家の事例を読んでください。

旧集落の細街路は、解体費と再建築の両方に効きます。掛塚のように道が狭く曲がっている地区では、重機やダンプを敷地の前に付けられず、手作業と小運搬が増えます。同時に、その道が建築基準法上どう扱われる道路なのかも問題になります。幅が足りない道に接している場合、建て替えのときに敷地を後退させる必要が生じることがあります。更地にしたのに希望する建物が建たないと分かれば、買い手の層は大きく狭まります。解体の見積りを取る前に、市の建築担当窓口で道路の扱いを確認してください。

低地では、水の条件が買い手の関心事になります。池田付近のように川と堤防が近い地域では、市が公表しているハザードマップの浸水想定が、買い手の資金計画や火災保険の検討に直接関わります。これは建物を壊しても変わらない土地の条件です。売り出す前に自分で地図を見て、想定される深さと避難の情報を把握しておくと、聞かれたときに事実で答えられます。隠すよりも、条件を示したうえで価格の見立てを立てる方が、話がこじれません。

宅地に農地が続く地域では、手続きが一つ増えます。匂坂のあたりのように農業振興地域の農用地区域が広がる場所では、登記地目が田や畑の土地について、売買や転用に農業委員会の手続きが関わります。何十年も耕作していなくても、地目が農地のままなら対象になり得ます。母屋の敷地だけを切り分けて売るなら、分筆と測量も必要になります。まず登記地目を確認し、具体的な取扱いは各市町の農業委員会へ照会してください。解体の可否とは別の話として進みます。

丘陵地では、解体したあとの管理が問題になります。笠原のような茶園に囲まれた集落では、手入れをやめた茶畑や竹が隣接地から伸びてきます。建物を壊して更地にしても、草と竹の管理は続きます。売れるまでの間、誰が何回草を刈るのかを決めておかないと、近隣からの連絡が続きます。年に二回か三回の外注費を、保有期間の費用として比較表に入れておいてください。更地は建物がない分だけ管理が楽になる、とは限りません。

季節の要素もあります。遠州の冬は空っ風が強く、養生シートや粉じんの管理に手間がかかります。夏から秋の台風期は、屋根や外壁の応急処置が先に必要になる時期です。工事の混み具合も一定ではなく、年度末や年末は解体業者の予定が埋まりやすくなります。一月一日をまたぐかどうかで翌年度の課税が変わり得ることを踏まえると、年末に着工して年内完了を狙う日程は、遅れたときの影響が大きいと分かります。余裕を持った工期で組んでください。

買い手が動く時期も見ておきます。転勤や進学に合わせて春に住まいを探す層があり、この時期は中古住宅の問い合わせが増えます。一方、更地の土地は建築会社を通じて紹介されることが多く、住宅の展示場や見学会の動きに引っ張られます。古家付きで住む人を探すのか、更地で建てる人を探すのかによって、売り出しを始めたい時期がずれるということです。解体の完了時期を、売り出しの時期から逆算して決めてください。

売り先が身近にある場合もあります。田や畑が隣接する地域や旧集落では、隣地の所有者が自分の敷地と一体で使いたいと考えていることがあります。この場合、建物が残っているかどうかより、境界がはっきりしているか、越境した塀や樹木が片付くかの方が重要になります。声のかけ方は難しいところがあるので、直接交渉に入る前に、境界の状況を整理したうえで宅地建物取引士へ相談してください。近隣に話が広まる時期をこちらで選べなくなるという副作用もあります。

補助制度についても触れておきます。老朽化した危険な空き家の除却に対する補助や、空き家バンクのような仕組みを設けている市町があります。ただし、要件も予算の枠も申請の受付時期も、市町ごとに異なります。共通して注意したいのは、工事の契約や着工よりも前に申請することを求める制度が多いという点です。先に契約してしまってから相談に行くと、対象外になることがあります。解体を検討し始めた時点で、市町の空き家を担当する窓口へ、今年度の制度の有無と申請の順番を確認してください。

  • 前面道路の扱いと後退の要否を、市の建築担当窓口で確認する
  • ハザードマップで浸水想定と避難の情報を自分で見ておく
  • 登記地目に田や畑が含まれていないかを確認し、農業委員会へ照会する
  • 売れるまでの草刈りの回数と外注先を先に決め、費用に含める
  • 解体の補助制度の有無と申請の順番を、契約前に市町の窓口で確認する

図3建てられる土地かと、建物が使える状態かで仕分ける

建てられる土地かと、建物が使える状態かで仕分ける選択肢を比べる前に、自分の家がどのマスにいるかを決めます。横軸は市の窓口と専門家に確認して埋め、縦軸は現地で中に入って判断します。マスが変われば、同じ助言でも当てはまり方が変わります。横軸=更地にしたとき建物を建てられる見込み / 縦軸=建物を案内できる状態か建てられる見込みが立っている再建築が難しい・まだ未確認内見でき、住宅として使える急がず両方の値を取る古家付きと更地の想定価格を並べ、解体費を引いた手取りで比べる。買い手の反応を見てから解体を決めても遅くない。古家付きのまま現況で出す壊すと建てられない可能性が残る間は、建物を残したまま探す。今の建物を直して使う買い方が最大の持ち味になる。内見できない・危険な箇所があ解体を前提に段取りを組む見積りを複数取り、着工時期と一月一日の関係、滅失登記までを一本の予定表にする。税の確認を契約前に挟む。安全の是正を先に、売り方は後で危ない箇所だけ止め、道路と境界の確認を並行する。全部解体を決めるのは、建てられるかどうかが分かってから。どのマスにいても、名義と相続人が確定するまで解体工事の契約書へ署名しない。
選択肢を比べる前に、自分の家がどのマスにいるかを決めます。横軸は市の窓口と専門家に確認して埋め、縦軸は現地で中に入って判断します。マスが変われば、同じ助言でも当てはまり方が変わります。

このページ固有の確認メモ

ここからは「古い実家は解体してから売る?古家付きのまま売る?判断の順番」で特に確認したい内容を、事実、避けたい判断、手元資料に分けて示します。すべてを一度に終える必要はありません。確認できた項目には日付と根拠を添え、分からない項目には担当者と再確認日を付けてください。家族が別々の時間に作業しても、同じ一覧へ戻れる状態を目指します。

確認しておく事実

この欄は、方針を決める前に共有したい事実です。家族の記憶だけで確定せず、通知書、契約書、公式ページ、撮影日が分かる写真など、確認に使った根拠を隣へ書きます。該当しない項目も削除せず「該当なし」とした理由を残すと、後から同じ調査を繰り返さずに済みます。

  • 解体は元に戻せないため、確認の順番を守れば途中で引き返せる
  • 名義と相続人の確定が済むまで解体工事の契約書に署名しない
  • 更地にして建てられる土地かどうかを、見積りより先に確認する
  • 内見できない家は古家付きでは値が付きにくく、解体が現実的になる
  • 解体費と価格の上昇分は一致しない。手取りで比べる
  • 固定資産税は一月一日の状況で判定されるため着工時期が影響し得る
  • 放置して勧告を受けた場合も住宅用地の特例から外れる取扱いがある

避けたい判断

この欄に当てはまる可能性があるときは、契約や処分をいったん止めます。一般例を対象の家へ当てはめたのか、資料で確かめたのかを区別し、不足情報を質問へ直してください。法務、税務、測量、建物、行政など別分野の判断が必要なら、回答できる相談先へ切り分けます。

  • 査定額の差をそのまま手取りの差だと思い込む
  • 接道や境界を確認しないまま解体の日程を先に押さえる
  • 訪問してきた業者の期間限定の値引きに合わせて契約する
  • 母屋だけの見積りを取り、離れや物置、浄化槽を数え落とす
  • 相続した空き家の特別控除を、売買契約を結んだあとで相談する
  • 補助制度の申請より先に工事契約を結んでしまう
  • 家財の処分と解体工事の廃棄物処理を同じものとして扱う

手元で探すもの

見つけた資料には名称、発行年、原本の保管者を記します。古い資料も経緯を知る手掛かりになるため、最新版と違うだけで捨てないでください。見つからない場合は空欄にせず、再取得できるか、誰に所在を尋ねるか、いつ再確認するかを決めると次の相談準備になります。

  • 登記事項証明書と公図、地積測量図の有無
  • 固定資産税の課税明細と名寄帳
  • 相続人の範囲と、相続登記の進み具合
  • 前面道路の種類、幅員、接している長さ
  • 境界標の有無と越境の状況
  • 登記地目に田や畑が含まれていないか
  • 母屋以外の建物、井戸、浄化槽、塀、大木の一覧
  • 室内へ入れるか、買い手を案内できるか
  • 解体見積り三社分の内訳と追加条件
  • 工事後に受け取る書類と滅失登記の担当
  • 市町の補助制度の有無と申請の順番
  • 税理士へ相談した日付と、確認できた範囲

よくある質問

解体してから売った方が高く売れると言われました。本当ですか

更地の方が買い手の層が広がる土地はありますが、解体費と同じだけ価格が上がるとは限りません。比べるときは、更地の想定価格から解体費と追加費用、売れるまでの保有費用を引いた手取りで並べてください。前提として、更地にしたときに建物を建てられる土地かどうかを先に確認する必要があります。

荷物が残ったままでも、売り方の相談は始められますか

始められます。名義、接道、境界、登記地目といった確認は、住所と資料からの机上調査が中心です。片付けが終わるのを待つ必要はありません。むしろ、片付けの前に権利証や課税明細、火災保険証券などの所在を確かめておくと、後の手続きが早くなります。

更地にすると固定資産税が六倍になると聞きました

住宅用地の特例の対象から外れることで土地の課税標準の扱いが変わりますが、建物分の課税がなくなる部分もあり、負担調整の仕組みもあるため、単純に六倍になるという説明は当てはまりません。実際にいくら変わるかは、市町の資産税を担当する窓口で土地の評価額と面積をもとに確認してください。

解体の見積りが会社によって大きく違います。何を見ればよいですか

総額ではなく、含まれている範囲を見ます。残置物、ブロック塀、門柱、庭石や庭木、物置、カーポート、浄化槽、井戸、そして地中埋設物が出た場合の扱い。加えて、届出や近隣対応をどちらが行うか、工事後にどの書類を受け取れるか。この項目をそろえてから並べると、差の理由が見えてきます。

解体したあとに必要な手続きはありますか

建物を取り壊したときは、原則として一か月以内に建物滅失登記を申請することとされています。手続きは土地家屋調査士が担い、工事会社から取壊しを証する書類を受け取る必要があります。あわせて、市町の資産税担当への連絡や、電気・ガス・水道の停止と引込みの扱いも確認してください。

解体費の補助は使えますか

老朽化した空き家の除却に対する補助を設けている市町がありますが、要件も受付時期も予算枠も一律ではありません。多くの制度では工事の契約や着工より前に申請することが求められます。検討を始めた時点で、市町の空き家を担当する窓口へ、今年度の制度の有無と申請の順番を確認してください。

公式出典・確認先

制度や受付条件は変わることがあります。最終判断の前に、リンク先の最新情報と担当窓口を確認してください。

  1. ふじがおか実家カルテ|住所で分かること(fudosan.atawi.link)カルテで整理する範囲と、現地・専門家確認が必要な範囲を確認確認日:2026-08-27
  2. 法務省|相続登記の申請義務化について(www.moj.go.jp)相続登記の基本的義務、遺産分割成立後の追加的義務、経過措置を確認確認日:2026-08-27
  3. 法務省|相続人申告登記について(www.moj.go.jp)遺産分割がまとまらない場合の申告登記と必要書類を確認確認日:2026-08-27
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大石 浩之

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士(静岡県知事 第027186号)。静岡県磐田市見付を拠点に、磐田市・袋井市・森町・掛川市・菊川市・御前崎市・湖西市・浜松市で、相続不動産・空き家・実家じまいの相談に対応。家族が次に確認する事項を、判断を急がず、地域の実務と公的情報を分けながら整理しています。