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実家の土地が複数地番に分かれているときに確認すること

実家の土地が一筆とは限りません。母屋の下の宅地のほかに、庭先の畑、車を停めている雑種地、道路へ出るまでの通路、隣家と共有している私道の持分が、それぞれ別の地番になっていることがあります。筆が分かれていること自体は欠陥ではありませんが、地目が混ざると売り方も手続きの数も変わります。この記事では、何筆あるのかを数える方法、公図で並びを確かめる手順、一体で売るか分けるかの判断材料、そして一覧表と現地を突き合わせる作業までを、自分で確認できることと専門家へ渡すことを分けながら並べます。

実家の土地が複数地番に分かれているときに確認することについて家族が資料を確認し、次の順番を話し合う写真風イメージ

まず結論

実家の土地は一筆とは限りません。まず課税明細の行数を数え、名寄帳と登記事項証明書で名義と担保を確かめる。次に公図を広げて筆の並びと接道を見る。地目に農地が混ざっていれば、売り方も日程も変わります。そのうえで一体で出すか分けるかを決め、最後に筆ごとの一覧表を作って現地と突き合わせる。この順番で進めると、契約の後に手続きが増えて日程が組み直しになる事態を避けられます。

実家の土地が複数地番に分かれているときに確認することで住所と地番を示すピクトグラム
住所と地番実家の土地が複数地番に分かれているときに確認することで最初に見る「住所と地番」
実家の土地が複数地番に分かれているときに確認することで筆と棟を示すピクトグラム
筆と棟土地建物の数を一覧化
実家の土地が複数地番に分かれているときに確認することで権利資料を示すピクトグラム
権利資料紛失と権利の有無を分ける
実家の土地が複数地番に分かれているときに確認することで不一致を示すピクトグラム
不一致課税・登記・現況を比較

「一つの実家」が何筆でできているかを先に数える

実家と呼んでいる土地が、いくつの地番でできているのかを記憶ではなく資料で確定する章です。筆数が分からないまま片付けや査定に進むと、後の工程がまとめてやり直しになります。

土地が複数の地番に分かれている理由は、たいてい一つではありません。もとは農地だった一部を宅地に変えて家を建てた、道路の拡幅で前面部分を分筆して市町へ譲った、先代の代に兄弟で分けた、開発分譲のときに通路部分だけを持分で持った、水路や里道の払い下げを受けた。どれも珍しい話ではなく、昭和のうちに建てた家の敷地では、むしろ一筆で完結しているほうが少ないくらいです。分かれていること自体に問題はありません。困るのは、何筆あるかを誰も把握しないまま話が進むときです。

最初に開くのは、毎年春に届く固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書です。ここには課税されている土地が筆ごとに並び、所在、地番、地目、地積、評価額が載ります。見るのは金額ではなく行数です。土地の欄が三行あれば三筆、家屋の欄が二行あれば二棟ということになります。この行数を数えるだけで、家族の記憶と資料のずれが最初に見えてきます。通知書が手元にない場合は、市町の資産税を担当する窓口で再発行や閲覧の方法を尋ねてください。

課税明細より広く見たいときは名寄帳です。その市町の中で同じ所有者が持っている不動産が一覧になるため、家族が把握していなかった山林や、離れた場所にある畑が出てくることがあります。磐田市・袋井市・森町のように市町をまたいで土地を持っている家では、市町ごとに請求が必要になります。誰が請求できるか、何を持参するかは市町によって扱いが違うので、窓口に電話して持ち物を確認してから行くと一度で済みます。相続の途中であれば、戸籍などで自分の立場を示す書類を求められることがあります。

筆の数が見えたら、次は登記事項証明書を筆ごとに取ります。所有者が誰か、共有なら持分がいくつか、抵当権や差押えの登記が残っていないかは、課税の資料からは分かりません。請求には、普段使っている住居表示ではなく地番を使います。地番が分からないときは、法務局の窓口で照会するか、住居表示と地番が併記されたブルーマップを図書館などで見ます。手数料は請求方法によって差があり、オンライン請求のほうが窓口より低く設定されています。金額は変わることがあるため、法務局の案内で確認してください。

登記事項証明書を見て、名義が祖父母や先代のままだと分かることがあります。この場合、筆の数だけ手続きの対象が増えます。相続した不動産の登記については申請の義務が定められており、遺産分割がまとまらない間に使える相続人申告登記という仕組みもあります。期限の数え方や経過措置の考え方は法務省の案内に整理されているので、まずそちらで枠組みを確認し、実際の申請は司法書士へ相談してください。筆が多い家ほど、放置した期間の分だけ関係する相続人が増え、話をまとめる手間が重くなります。

課税明細だけを頼りにすると、抜ける筆があります。公衆用道路として非課税になっている通路や、墓地、保安林などは、課税の一覧に載らないか、載っても評価額がほとんど付かない形になります。税金がかかっていないことと、持っていないことは別です。名寄帳の非課税分の記載を確かめるか、公図で敷地の周りを見て、自分の名義の細長い筆がないかを探します。売却の場面でこの通路部分の所有権が抜けていると、買主側の融資の審査で止まることがあります。

遠州の平野部では、宅地の隣に小さな畑が付いている形が今も普通に見られます。匂坂や豊岡の周辺のように農地が生活圏に入り込んでいる地域では、母屋の敷地と畑を合わせて一つの実家として扱ってきた家が多くあります。掛塚のように道が細い集落では、車の出入りのために後から通路を買い足した結果、筆が増えていることもあります。土地の成り立ちは地区ごとに違うので、一般論で当てはめず、自分の家の資料で数えてください。

数えた結果は、その場のメモで終わらせず、後から他の家族が同じ資料へ戻れる形で残します。地番、地目、地積、名義、根拠にした資料の名前、確認した日付。この六つを一行にまとめておくと、途中で担当が変わっても続きから進められます。分からなかった項目は空欄のままにせず、未確認と書いて次に見るものを添えます。空欄は放置され、未確認は次の作業になります。この違いが、半年後に効いてきます。

  • 課税明細書で土地の行数と家屋の行数を数える
  • 通知書がなければ市町の資産税担当で名寄帳の請求方法を聞く
  • 筆ごとに登記事項証明書を取り、名義・持分・担保の有無を見る
  • 非課税で課税明細に出てこない筆がないかを確かめる
  • 地番・地目・地積・名義・根拠資料・確認日を一行にして残す

図1筆の数を確定するまでの五手

筆の数を確定するまでの五手資料を取る順番です。前の資料の中に、次に何を取ればよいかが書かれています。遠方に住んでいても、窓口への電話と郵送でここまではおおむね進められます。1課税明細の行を数える納税通知書に同封された課税明細書で、土地の行数と家屋の行数を数える。金額ではなく件数を見る。2名寄帳で漏れを探す市町の資産税担当へ。その市町内の所有不動産が一覧になる。市町をまたぐ場合はそれぞれに請求する。3地番を確かめる住居表示ではなく地番で請求する。分からなければ法務局で照会するか、ブルーマップで住所から引く。4筆ごとに登記を取る登記事項証明書で名義、持分、抵当権、差押えを見る。課税の資料では分からない部分がここに出る。5公図で並びを見る筆がどう隣り合い、どの筆が道に接しているかを確かめる。ここまでが家族だけで進められる範囲。五手のどこで止まっても構わない。止まった位置と理由を書いておけば、別の人が続きから始められる。
資料を取る順番です。前の資料の中に、次に何を取ればよいかが書かれています。遠方に住んでいても、窓口への電話と郵送でここまではおおむね進められます。

地目が混ざると、売り方も手続きの数も変わる

同じ敷地に見えても、登記地目が宅地と畑では通る手続きが違います。地目の混在を見落としたまま話を進めると、契約の後に日程を組み直すことになります。

登記の地目は、その土地が登記簿の上でどう扱われているかを示す区分です。宅地、田、畑、山林、原野、雑種地、公衆用道路などがあり、実家の敷地には複数が混ざっていることがあります。ここで押さえておきたいのは、登記地目と現況が一致するとは限らないという点です。何十年も耕していない畑が、登記の上では畑のまま残っている家は珍しくありません。固定資産税は原則として現況に応じて課税されるため、課税の資料では宅地並みに扱われているのに登記地目は畑、という状態も起こります。どちらかが誤りなのではなく、二つの制度が別の目的で動いているためです。

混在の中でいちばん影響が大きいのは農地です。登記地目が田または畑の土地を売る、贈る、宅地に変えるといった場面では、原則として農地法にもとづく手続きが関わってきます。農地のまま譲るのか、自分で宅地に転用するのか、転用を前提に売るのかで、必要な手続きの種類が変わります。窓口は市町の農業委員会です。手続きの要否も、そろえる書類も、審査にかかる期間も、その土地の場所と使い方によって変わるため、一般的な説明で判断せず、地番を持って相談してください。

さらに時間がかかるのが、農業振興地域の農用地区域に指定されている土地です。この区域に入っていると、宅地に変える前に区域から除外する手続きが必要になり、受付の時期が限られている市町もあります。数か月では終わらない場合も想定して日程を組む必要があります。自分の土地が区域に入っているかどうかは、市町の農政を担当する窓口へ地番を伝えれば調べられます。宅地に見える場所のすぐ隣がこの区域という並びも起こり得るので、目で見た印象で判断しないでください。

耕作をやめてから長い年数が経っている場合でも、登記地目が農地であれば手続きの対象になり得ます。現況が庭や物置の敷地になっていることを踏まえた扱いが取られることもありますが、その判断をするのは農業委員会です。家族の側でできるのは、いつから耕作をやめたのか、いま何に使っているのかを、写真とともに整理して持っていくことです。ここを飛ばして、もう畑ではないから大丈夫と決めてしまうと、売買契約の後に手続きが必要だと分かり、決済の日程を先へずらすことになります。

前面の道が私道の場合、その道もまた誰かの土地です。分譲地では、道の部分を一筆にして関係する家が持分で持っている形が多く見られます。自分の家に持分があるか、あるとして何分の何かは、登記事項証明書で確認します。もともと持分がない場合や、相続の際に道の部分だけ名義の変更が抜けている場合があり、売却の場面で買主側から指摘されます。あわせて、水道やガスの引き込みのために道を掘る承諾が取れるかどうかも、早い段階で確かめておきたい事項です。

駐車場や資材置場として使われている土地は、雑種地として扱われていることがあります。周りが宅地であれば宅地に近い評価がされることもあり、税負担の感じ方は場所によって差が出ます。一方で、家が建っていない土地には住宅用地に対する軽減の扱いが及ばないため、同じ広さでも負担の重さが違います。山林や原野が含まれる場合は、境界の確認と、そこまで実際に行けるかどうかがまず問題になります。手放すことを考えるなら、草が伸びきる前の季節に写真を撮っておくと相談が進みます。

税の扱いも地目や利用状況で変わり得ます。相続した家を売るときの特例には、対象となる家屋と、その家屋の敷地という条件があり、庭続きの畑まで当然に含まれるとは限りません。取得費や譲渡所得の計算も、筆ごとに事情が違えば単純にはなりません。適用の可否や区分の考え方は個別性が高いため、国税庁の案内で制度の枠を見たうえで、判断そのものは税理士へ渡してください。この段階でできるのは、地目が混ざっているという事実を先に見つけておくところまでです。

  • 登記地目と現況が一致しない筆がないかを並べて確認する
  • 田・畑が含まれる場合は地番を持って市町の農業委員会へ相談する
  • 農業振興地域の農用地区域に該当するかを農政担当で確かめる
  • 私道の持分の有無と、通行・掘削の承諾の状況を調べる
  • 税の特例が使えるかどうかは自分で決めず税理士に確認する
地目ごとに、先に確かめることと相談先
登記地目実家でよくある姿先に確かめること・相談先
宅地母屋と離れが建っている敷地登記面積と現況の差、建物の登記の有無。司法書士・土地家屋調査士
田・畑庭続きの家庭菜園、耕作をやめた田農地法の手続きの要否と農用地区域かどうか。市町の農業委員会・農政担当
山林・原野集落の背後にある斜面地境界と到達の可否、管理の実態。市町の担当窓口と土地家屋調査士
雑種地駐車場や資材置場になっている土地課税上の評価と、宅地にする場合の造成の要否。市町の資産税担当
公衆用道路前面の私道や通路の持分持分の有無と通行・掘削の承諾。司法書士と宅地建物取引士

公図を広げて、筆の並びと接道を目で確かめる

公図は、筆がどう隣り合い、どこで道に接しているかを一枚で見せてくれる資料です。ただし図の線は境界そのものではないので、読み取れることと確定が要ることを分けます。

公図は、法務局に備えられている土地の位置と形を示す図面です。複数地番の実家では、資料の中でいちばん役に立ちます。ただし公図と呼ばれる図面には性格の違う二種類があります。測量にもとづいて作られた精度の高い地図と、それ以前の図を引き継いだ、地図に準ずる図面です。後者は形や位置が現地と正確には合わないことがあり、線の位置をそのまま境界と読むことはできません。どちらが備え付けられているかは、取得した図面の表題の部分で確かめられます。

取得には地番が必要です。法務局の窓口や郵送のほか、オンラインでの請求もできます。手数料は請求方法によって差があるので、最新の金額は法務局の案内で確認してください。地番が分からない場合は、法務局に備えられた地図で照会するか、ブルーマップで住所から引きます。実家の住所しか分からない状態でも、ここから入れます。取得できたら、家族で共有する用に何枚か複写しておくと、書き込みを恐れずに作業できます。

手に入れたら、いきなり読み込まずに作業を分けます。まず方位と縮尺を確かめ、次に自分の名義の筆を色鉛筆で塗ります。塗ったうえで、それぞれの筆に地番を書き入れます。ここまでで、実家の敷地がどんな形の集まりなのかが目に見えるようになります。三筆が横に並んでいるのか、母屋の下の宅地を畑が二方向から囲んでいるのか、道路まで細い筆が伸びているのか。形が分かると、次に何を確かめればよいかが自然に決まります。

塗り分けをしていると、地番が連番になっていない、あるいは同じ番号に枝番が並んでいることに気づきます。もとが一筆だった土地を分けると、親の番号に枝番が付いた形で増えていきます。逆に、離れた場所にある筆が近い番号を持っていることもあります。番号の近さは位置の近さを意味しないので、地番だけで並びを推測しないでください。字が変わる場所には図の上で境が引かれており、実家の敷地が二つの字にまたがっている場合もあります。そのときは、資料を請求するときの表記に取り違えが起きやすいので注意してください。

次に見るのは道路との関係です。塗った筆のどれが道に接しているか、接している長さはどれくらいかを図の上で確かめます。ここで、自分の筆と道路の間に細い帯が挟まっていることがあります。かつての里道や水路で、地番が振られていなかったり、国や市町の名義になっていたりします。この帯があると、建て替えや外構の工事のときに手続きが必要になる場合があります。図の上で見つけた時点では、あるという事実だけを記録し、扱いは市町の道路や河川を担当する窓口へ聞いてください。

公図と一緒に確認したいのが、地積測量図の有無です。分筆や地積の更正の登記をしたときに作られる図面で、辺の長さや境界標の位置が記されています。備え付けがない土地は、境界が確定していない可能性があります。あっても作成年が古いものは、現在とは違う方法や基準で作られていることがあります。図面の有無と作成年を筆ごとに記録しておくと、後で土地家屋調査士に相談するときの出発点になります。

図面がそろったら、印刷した公図を持って現地へ行きます。塗った筆の境目に当たる場所に何があるのかを見ます。コンクリートの杭、金属のプレート、鋲、あるいは何もない。ブロック塀や生垣は目印にはなりますが、境界そのものではありません。図の線と現地の構造物がずれているように見える場合は、どちらが正しいかをその場で決めずに、写真を撮って記録します。掛塚のように道が細く建物が密集した集落では、図から受ける印象と現地の見え方が大きく違うことがあります。

公図には、隣り合う土地の地番も載ります。誰の名義かまでは公図では分かりませんが、隣接地の登記事項証明書は地番が分かれば取得できます。境界の相談を進める段階では、隣がどなたの名義かを知っておくと話が早くなります。ただし、調べたことをもとに家族が単独で交渉を始めるのは避けてください。立会いの申し入れは、測量を依頼した土地家屋調査士から行うのが通常の流れです。ここで調べておくのは、あくまで相談のときに渡す材料としてです。

公図でできるのは、並びと接し方を把握するところまでです。境界がどこかを確定するのは土地家屋調査士の仕事で、隣地の所有者との立会いを経て初めて決まります。家族が図面の線を根拠に隣家へ話をしに行くと、後の測量がかえって進みにくくなります。図から読み取ったことは読み取れたこととして書き、確定が必要な部分は相談事項の欄へ移してください。この線引きを最初にしておくと、専門家へ渡す資料が整った状態になります。

  • 公図を取り、地図か地図に準ずる図面かを表題で確かめる
  • 自分の名義の筆を色分けし、地番と方位を書き入れる
  • 道路に接している筆と、接している長さを図の上で確認する
  • 筆と道路の間に里道や水路が挟まっていないかを見る
  • 地積測量図の有無と作成年を筆ごとに記録する

図2一つの敷地に、性格の違う筆が同居している

一つの敷地に、性格の違う筆が同居している同じ実家の土地でも、筆ごとに決められる人と相談先が違います。中心にあるのは母屋の敷地ですが、その周りの筆を同じ感覚で進めると手続きが途中で止まります。母屋が建っている宅売る・貸す・建て替えるの判断の中心になる筆登記地目が農地の筆庭続きの畑や田。耕作をやめていても、登記地目が農地なら農業委員会の手続きが関わり得る。私道・通路の筆隣家と共有していることが多い。持分の登記漏れや、通行と掘削の承諾の有無が売却の場面で効く。里道・水路公図に細い帯として現れる。所有と管理は国や市町にあり、家族の判断だけでは扱えない。非課税の筆公衆用道路などは課税明細に載らないことがある。名寄帳と公図の両方で拾い上げる。手続きが要る持分で持つ動かせない課税に出ない筆ごとに相談先が変わる。宅地と同じ感覚で農地や私道を扱わないことが、日程を守る近道になる。
同じ実家の土地でも、筆ごとに決められる人と相談先が違います。中心にあるのは母屋の敷地ですが、その周りの筆を同じ感覚で進めると手続きが途中で止まります。

全部まとめて手放すか、分けて残すかを決める

筆の数と地目と並びが分かったら、次に決めるのは価格ではなく出口の形です。形が決まらないまま査定だけを集めても、比べる土台がそろいません。

選び方は大きく三つです。全部をまとめて一人の買主に渡す、必要な部分だけ分けて売る、一部を家族に残して残りを手放す。どれが向いているかは、地目の組み合わせ、道路への接し方、家族の中で使う予定があるかどうかで変わります。三つのうちどれを軸に検討するかを先に決めておくと、相談に行ったときの質問が具体的になります。逆に、決めないまま複数の会社へ話を持ち込むと、前提の違う回答が並んで比較ができなくなります。

一体で出す場合、買主は敷地全体を一度に取得します。手続きの数が少なく、境界の立会いも一度で済むことが多いため、家族側の負担は軽くなります。ただし、地目に農地が含まれていると、買主が誰でもよいわけではなくなります。転用を前提に売るなら、その手続きが済むまで所有権を移せないという形で契約を組むことがあり、決済までの期間が延びます。この点は媒介を依頼する段階で確認しておく事項で、後から出てくると日程がまるごとずれます。

買い手の側から見ると、筆が分かれていること自体は障害になりません。気にされるのは、その中に手続きの要る筆が混ざっているか、そして全部を一度に引き取れるかです。宅地と畑を別々の相手に売ることになれば、境界の立会いも登記の手続きも二回になります。一方で、畑を含めて引き取る相手が地元に見つかることもあります。地域の事情で答えが変わる部分なので、条件を一つに固める前に、いくつかの出し方で意見を聞いてみてください。

一部だけを売る、あるいは残す場合は、分筆の登記が必要になることがあります。分筆をするには、原則としてその土地の境界を確定させる必要があり、隣地の所有者や道路の管理者との立会いが伴います。測量と登記にかかる費用は、土地の形、隣地の数、境界標の残り具合によって幅が大きく、数十万円の規模になることも珍しくありません。期間も、立会いの日程調整が入るため、数か月を見ておくのが現実的です。見積もりは、地番と公図を持って土地家屋調査士へ依頼します。

逆に、細かく分かれた筆をまとめる合筆という登記もあります。ただし条件があり、原則として所有者が同じであること、地目が同じであること、互いに接していることなどが求められます。抵当権の登記がある土地にも制限があります。宅地と畑をまとめて一筆にする形は、地目が違う限りそのままではできません。売りやすくするために先にまとめておこうと考える前に、条件に当てはまるかどうかを司法書士や土地家屋調査士に確認してください。

分け方を考えるときに外せないのが接道です。建物を建てるには、原則として敷地が建築基準法上の道路に一定の幅で接している必要があります。母屋の敷地が道路まで細い通路でつながっている形では、その通路の筆を切り離して売ってしまうと、残った土地に建物を建てられなくなることがあります。前面の道が建築基準法上の道路に当たるか、幅はいくつか、後退が必要かは、市の建築を担当する窓口や関係機関で調べられます。最終的な判断は建築士や宅地建物取引士へ渡してください。

土地だけでなく、建物が複数棟あるときも同じ整理が要ります。母屋のほかに離れ、農機具小屋、車庫があり、そのうち登記されているのは母屋だけ、という状態はよくあります。未登記の建物にも固定資産税は課税されていることが多く、課税明細のほうには載ります。売るときには、残すのか壊すのか、登記をどう扱うのかを棟ごとに決めることになります。どの棟がどの筆の上に建っているのかも、公図と現地の両方で確かめておいてください。母屋が二つの筆にまたがって建っている例もあります。

一部を残す選択には、残したあとの負担が付いてきます。畑を一筆だけ残せば、その筆の固定資産税は続き、夏の草は毎年伸びます。遠州の夏は雨と気温で草の伸びが早く、年に一度の帰省では追いつきません。近隣から連絡が来るのは、たいてい草と枝のことです。残す理由が、いつか誰かが使うかもしれないという見込みだけなら、その筆をどう管理するか、費用を誰が持つかまで決めてから残してください。決めずに残した筆は、そのまま次の代へ引き継がれます。

よくある止まり方を一つ挙げます。宅地と庭続きの畑を一体で売る前提で媒介契約を結び、買主も決まったところで、畑の登記地目が農地のままだと分かる。転用の手続きが必要になり、決済が数か月先へ延びる。買主の住宅ローンの承認期限や引越しの予定にも影響が出ます。この止まり方は、最初に課税明細と登記事項証明書を並べて地目を見ていれば避けられたものです。順番を守ることの意味は、価格ではなく日程に出ます。

  • 一体で出すか、分けるか、一部を残すかを先に決める
  • 農地が含まれる場合は決済までの期間が延びる前提で日程を組む
  • 分筆が必要なら土地家屋調査士に測量と登記の見積もりを聞く
  • 通路部分を切り離しても残地が接道を満たすか専門家に確認する
  • 残す筆については管理の担当と費用の負担を決めてから残す

筆ごとの一覧表を作り、現地を歩いて突き合わせる

最後の作業は、資料で分かったことを一枚の表にして、現地の状態と照らし合わせることです。表にする理由は、埋まっていないマスが消えずに残るからです。

ここまでの確認結果は、筆ごとの一覧表にまとめます。文章で書くと、書けたところだけが残り、書けなかったところは見えなくなります。表であれば、空いたマスがそのまま次の作業として残ります。列は下の表のとおりで、紙一枚に収まる範囲で十分です。家族で共有する場合は、印刷したものと、写真に撮ったものの両方を用意しておくと、集まれないときでも同じものを見ながら話せます。

表がある程度埋まったら、印刷して現地へ持って行きます。見るのは四つです。境界の目印があるか、敷地から出ているものや入っているものがあるか、通路を誰が実際に使っているか、表に書いた地目と現況が合っているか。この四つに絞れば、二時間ほどで一通り歩けます。一度で全部を確かめようとせず、見られなかった場所は次回に回してください。

現地を歩く日は、季節を選べるなら草が伸びきる前の時期にしてください。夏の盛りに行くと、境界標も水路も草の中に隠れます。持ち物は、長靴、軍手、草をよける道具、巻尺、方位が分かるもの、それから印刷した公図。これだけあれば足ります。一人で行くより、家の由来を知っている親族と二人で行くほうが、後から確かめ直す回数が減ります。近隣に挨拶をする場合は、資料を調べている段階だとだけ伝え、売る売らないの話はしないでおくのが無難です。

境界の目印は、コンクリートの杭、金属のプレート、鋲などの形で入っています。土に埋もれていることが多いので、角にあたる場所の草をよけて探します。見つかったら、真上から一枚、少し離れて周りの様子が分かるように一枚撮ります。見つからない場所は、ないと書かずに、見つけられなかったと書きます。あるのに見えないだけという場合があるためで、この書き分けが後の測量の相談で意味を持ちます。

越境は双方向で見ます。隣家の木の枝、屋根、物置、室外機がこちらへ入ってきていないか。逆に、こちらのブロック塀や庇、給湯器が出ていないか。古い集落では、建てた当時の感覚のまま、互いに少しずつ出入りしていることがあります。見つけても、その場で隣家へ言いに行かないでください。事実を写真と図で記録し、扱いの相談は宅地建物取引士や土地家屋調査士へ渡します。順番を間違えると、話し合いそのものが難しくなります。

通路の筆は、登記の上の権利と実際の使われ方が離れやすい場所です。自分の名義の通路を隣家が日常的に使っている、逆に隣家の名義の道を通らせてもらっている。どちらも昔からの了解で成り立っていることが多く、書面が残っていないのが普通です。誰がどこを通っているかを図に書き込み、承諾の書面があるかどうかを家の中で探してください。売却の段になってから、この部分の整理に時間がかかることがあります。

一通り歩いたら、表の状態の欄を三つに仕分けます。確認済みは、資料と現地の両方で裏が取れたもの。未確認は、まだ見ていない、あるいは見たけれど読み取れなかったもの。専門家確認は、家族では決められないと分かったもの。三つに分けると、次にやることの数が数えられるようになります。未確認には、次に見る資料か行く場所を書き添えます。専門家確認には、誰の分野かを書きます。

表は一度作って終わりではありません。窓口で回答をもらったら、その日付と、答えてくれた部署の名前を同じ行に書き足します。古い記載は消さずに残し、下へ新しい行を足していくと、なぜその結論になったのかを後から追えます。家族の間で意見が分かれたときも、この履歴があれば、事実の相違なのか判断の相違なのかを切り分けられます。半年後に同じ話を最初からやり直さないための備えとして、更新の履歴は残しておく価値があります。

最後に、この一覧表を誰へ渡すかを決めます。境界と面積は土地家屋調査士、名義と登記の手続きは司法書士、農地は市町の農業委員会、道路は市の担当窓口、税は税理士。相談するときは、地番と公図と一覧表を一緒に出すと話が早くなります。一枚にまとまっていれば、家族の誰が行っても同じ説明ができます。実家の資料を集める作業は、突き詰めればこの一枚を作るための作業です。

  • 筆ごとの一覧表を作り、埋まっていないマスは残したまま共有する
  • 現地で境界標を探し、見つからない場所はその旨を書き分ける
  • 越境は出ている側と入っている側の両方を写真で記録する
  • 通路を実際に誰が使っているかを図に書き込む
  • 確認済み・未確認・専門家確認の三つに仕分ける
  • 相談先ごとに、渡す資料と聞くことを分けて用意する
筆ごとの一覧表に置く列と、書き方の例
何を書くか書き方の例
地番登記事項証明書のとおりに書き写す枝番まで省略せずに一筆ずつ行を分ける
地目登記地目と現況の両方登記は畑、現況は庭として使用
地積登記の面積。現況と違えば両方登記の面積を記入し、実測は未確認と添える
名義・持分共有なら全員と割合父の単独名義/父と叔父で二分の一ずつ
担保・差押登記事項証明書の乙区の記載抵当権の記載あり、完済したかは未確認
根拠資料と確認日何を見て、いつ確認したか登記事項証明書と公図、取得した年月を記入
状態確認済み・未確認・専門家確認の三つ未確認(次回に境界標を現地で探す)

図3資料と現地が合うか、母屋の敷地かで次の手が変わる

資料と現地が合うか、母屋の敷地かで次の手が変わる筆を一つずつこの表に置いていきます。マスが決まると、自分で続けられるのか、専門家へ渡すのかが分かれます。全部を同時に片づける必要はありません。横軸=資料(登記・公図)と現地が一致するか / 縦軸=母屋の敷地に含まれる筆かどうか資料と現地が一致する食い違う・読み取れない母屋の敷地に含まれる一覧表に確認済みとして記録地番、地目、地積、名義、根拠資料、確認日を書いて先へ進む。ここは家族だけで完結できる。土地家屋調査士へ渡す境界標が見つからない、越境がある、登記の面積と現況が違う。売却の日程を決める前に相談する。敷地の外にある・別の場所残すか手放すかを分けて考える飛び地の畑や山林。固定資産税と草刈りが続くことを踏まえ、一体で出すかどうかを決める。地目と管理者を先に確かめる里道や水路が絡む、地目が農地のまま。農業委員会や市町の担当窓口で扱いを聞いてから動く。未確認のマスを空欄のままにしない。誰に何を聞くかまで書いて、初めて次の作業になる。
筆を一つずつこの表に置いていきます。マスが決まると、自分で続けられるのか、専門家へ渡すのかが分かれます。全部を同時に片づける必要はありません。

このページ固有の確認メモ

ここからは「実家の土地が複数地番に分かれているときに確認すること」で特に確認したい内容を、事実、避けたい判断、手元資料に分けて示します。すべてを一度に終える必要はありません。確認できた項目には日付と根拠を添え、分からない項目には担当者と再確認日を付けてください。家族が別々の時間に作業しても、同じ一覧へ戻れる状態を目指します。

確認しておく事実

この欄は、方針を決める前に共有したい事実です。家族の記憶だけで確定せず、通知書、契約書、公式ページ、撮影日が分かる写真など、確認に使った根拠を隣へ書きます。該当しない項目も削除せず「該当なし」とした理由を残すと、後から同じ調査を繰り返さずに済みます。

  • 実家の土地は一筆とは限らず、宅地・畑・通路が別の地番になっていることがある
  • 課税明細の行数を数えるのが、筆数を知る最短の入口になる
  • 公衆用道路など非課税の筆は課税明細に載らないことがある
  • 登記地目と現況の地目は一致するとは限らない
  • 農地が混ざると、原則として農業委員会の手続きが関わってくる
  • 公図の線は境界ではなく、確定は土地家屋調査士の領域
  • 分筆には境界の確定が伴い、費用も期間も見込む必要がある

避けたい判断

この欄に当てはまる可能性があるときは、契約や処分をいったん止めます。一般例を対象の家へ当てはめたのか、資料で確かめたのかを区別し、不足情報を質問へ直してください。法務、税務、測量、建物、行政など別分野の判断が必要なら、回答できる相談先へ切り分けます。

  • 母屋の下の宅地だけを見て、庭先の畑や通路の筆を数え落とす
  • 課税されていない筆を、持っていない土地だと思い込む
  • 耕作をやめているから農地の手続きは要らないと自分で判断する
  • 公図の線を境界と考えて、隣家へ先に話をしに行く
  • 通路の筆を切り離して売り、残った土地の接道を確かめていない
  • 畑を一筆だけ残し、管理の担当と費用を決めないまま次の代へ渡す

手元で探すもの

見つけた資料には名称、発行年、原本の保管者を記します。古い資料も経緯を知る手掛かりになるため、最新版と違うだけで捨てないでください。見つからない場合は空欄にせず、再取得できるか、誰に所在を尋ねるか、いつ再確認するかを決めると次の相談準備になります。

  • 課税明細書の土地の行数と家屋の行数
  • 名寄帳に載る市町ごとの所有不動産
  • 筆ごとの登記事項証明書
  • 非課税で課税明細に出ない筆の有無
  • 公図(地図か地図に準ずる図面か)
  • 地積測量図の有無と作成年
  • 登記地目と現況の一致・不一致
  • 農業振興地域の農用地区域に該当するか
  • 私道・通路の持分と通行掘削の承諾
  • 境界標の有無と現地の写真
  • 相談した専門家と、回答の範囲と日付

よくある質問

実家の土地が何筆あるのかを知るには、まず何を見ればよいですか

固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書の行数を数えるのが最短です。手元にない場合は、市町の資産税を担当する窓口で名寄帳の請求方法を尋ねてください。ただし公衆用道路など非課税の筆は載らないことがあるため、公図でも敷地の周りを確かめます。

庭続きの畑も一緒に売れますか

登記地目が田や畑のままであれば、原則として農地法にもとづく手続きが関わります。耕作をやめて年数が経っていても対象になり得ます。地番を持って市町の農業委員会へ確認し、その結果を踏まえてから売り方と日程を決めてください。

公図の線は境界と考えてよいですか

そのようには読めません。特に地図に準ずる図面は、形や位置が現地と正確には合わないことがあります。境界の確定は、隣地との立会いを経て土地家屋調査士が扱う領域です。図からは筆の並びと道路への接し方までを読み取ってください。

筆が多いと売りにくくなりますか

筆の数そのものより、地目の組み合わせと道路への接し方のほうが影響します。宅地だけが並んでいるなら手続きは大きく増えません。農地や私道の持分が混ざる場合に、確認と手続きの時間を見込む必要が出てきます。

先に分筆や合筆をしておいたほうがよいですか

必要かどうかは出口の形で変わります。分筆には境界の確定が伴い、費用も期間もかかります。合筆にも所有者や地目の条件があります。まず売り方を決め、そのうえで土地家屋調査士や司法書士に要否を確認するのが順番です。

公式出典・確認先

制度や受付条件は変わることがあります。最終判断の前に、リンク先の最新情報と担当窓口を確認してください。

  1. ふじがおか実家カルテ|住所で分かること(fudosan.atawi.link)カルテで整理する範囲と、現地・専門家確認が必要な範囲を確認確認日:2026-08-27
  2. 法務省|相続登記の申請義務化について(www.moj.go.jp)相続登記の基本的義務、遺産分割成立後の追加的義務、経過措置を確認確認日:2026-08-27
  3. 法務省|相続人申告登記について(www.moj.go.jp)遺産分割がまとまらない場合の申告登記と必要書類を確認確認日:2026-08-27
  4. 国税庁|被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(www.nta.go.jp)適用期間、対象家屋、相続人数による控除限度額等を確認確認日:2026-08-27
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大石 浩之

富士ヶ丘サービス株式会社 代表取締役・宅地建物取引士(静岡県知事 第027186号)。静岡県磐田市見付を拠点に、磐田市・袋井市・森町・掛川市・菊川市・御前崎市・湖西市・浜松市で、相続不動産・空き家・実家じまいの相談に対応。家族が次に確認する事項を、判断を急がず、地域の実務と公的情報を分けながら整理しています。