遺言書の保管撤回、実家整理前の3つの確認
2026年10月25日|カテゴリ:相続・実家のしまい方

Q. 実家を売るかもしれません。預けた遺言書は子どもが取りに行けますか?
A. 保管申請の撤回による返還は、遺言者本人が原本を保管する法務局で手続きします。家族が代わりに受け取る手続きではありません。撤回書・本人確認書類・変更事項の証明を確認し、遺言内容や売却との関係は専門家へ相談してください。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。実家を売るか、残すか。その話し合いの途中で、法務局へ預けた遺言書を確認したくなることがあります。子どもが書類を取りに行けば済むのか。近くの法務局で返してもらえるのか。家の整理とは別に、本人の手続きの段取りが必要です。
この記事は、預けた自筆証書遺言の原本を返してもらう「保管申請の撤回」に絞ります。遺言の内容をどう変更すべきか、実家の売却によって効力がどうなるかは、個別の法律相談です。原本を返してもらう手続きと、書かれた内容の判断を混ぜずに整理します。
確認1:保管申請の撤回は、遺言者本人が行う
法務省民事局「自筆証書遺言書保管制度のご案内」の13頁は、保管申請の撤回ができる者を遺言者本人のみとしています。親が預けた遺言書を、子どもが委任状で受け取る手続きとしては案内されていません。2026年10月25日に冊子本文を確認しました。
ご家族が手伝えるのは、まず準備です。保管証がどこにあるかを一緒に探す。顔写真付きの本人確認書類を確認する。現在の住所と、保管申請をした時の住所が同じかを本人に尋ねる。本人の希望を聞かず、家族の都合だけで返還を進める話にはしません。
良い点は、本人が預けた書類を戻す手続きの主体が、はっきりしていることです。家族の意向と本人の意向を取り違えにくくなります。実家を売りたい人と、遺言を書いた人が同じとは限りません。話し合いでも、誰の意思を確認しているのかを明確にできます。
その上で、本人が外出しにくいご家庭には負担が残ります。私は、親を連れて行ってから必要書類の不足が分かる段取りは避けたいと考えます。来庁しにくい事情がある場合の対応は、原本の保管先に問い合わせます。家族による代行が可能だと自己判断せず、本人の状態と希望を具体的に伝えます。
確認2:返還は原本を保管している法務局へ
法務省の案内では、保管申請の撤回ができる場所は、遺言書の原本が保管されている遺言書保管所です。転居先から近い法務局で、どの手続きもできるわけではありません。予約を入れる前に、原本の保管先を確かめる必要があります。
同じ冊子の15頁は、遺言書の閲覧について、原本を見る方法と画像をモニターで見る方法を区別しています。原本の閲覧は原本の保管先、モニターによる閲覧は全国の遺言書保管所と案内しています。返してもらいたいのか、内容を確かめたいのかで、確認する手続きが違います。
ここは私も立ち止まりたいところです。実家を売るか検討しているだけなら、いきなり保管をやめる必要があるのか、まだ分かりません。内容を確認できれば次の相談へ進める場合もあるでしょう。私は返還を前提に予定を組まず、本人が何を知りたいのかを先に聞く方がよいと考えます。
自宅保管と法務局保管そのものの違いは、自筆証書遺言の保管方法の比較で整理しています。今回は、既に預けてある書類の返還準備です。保管制度を選ぶ時の話と、今ある遺言の内容を見直す時の話を分けてください。
確認3:持参物と、氏名・住所の変更を調べる
保管申請の撤回では、撤回書と、官公署が発行した顔写真付き身分証明書などを用意します。法務省の冊子は、保管申請後に氏名・住所等が変わっている場合、変更事項を証する書面も挙げています。予約日時と持参物を、原本の保管先へ確認してください。
| 準備するもの | 家族が先に確かめること |
|---|---|
| 保管先の情報 | 保管証などで原本の保管先を確認する |
| 撤回書 | 様式と記載事項を本人と確認する |
| 本人確認書類 | 顔写真付きの官公署発行書類を確認する |
| 変更の資料 | 氏名・住所等が変わっていれば必要書面を照会する |
保管申請の撤回には手数料がかからないと、冊子は説明しています。ただし、保管を申請した時の手数料は返還されません。返還の手続きが無料という話と、過去に支払った費用が戻るという話は別です。交通費や資料取得の手間まで、なくなるわけでもありません。
同冊子14頁の「変更の届出」は、氏名・住所等が変わった時の手続きです。遺言の内容を変更する手続きではないと明記されています。住所の届出をすれば、実家を誰に渡すかも変えられる、と受け取らないでください。書類の名前が似ていても、対象となる情報は違います。
私なら、電話をかける前に「返還を希望」「現在の住所」「申請時から変わった事項」をメモします。問い合わせ先へ一度に伝えられるからです。必要な証明書の種類を聞く前に、推測で何通も取得しない。家族が動ける日が限られるほど、確認の順番が効いてきます。
実家の記載と、売却の話し合いは別の資料でつなぐ
実家の売却を考えて遺言を見直す場合、遺言書に記載された不動産と、売却を検討する土地建物が一致するかを確認する資料が必要です。住所だけでなく、登記上の土地・建物の表示も照合します。内容が曖昧なら、売却日程を先に確定させないようにします。
私はこう考えます。家族の書類整理では、本人が書いた遺言、実家の登記資料、家族が考える売却案を別々に並べたい。それぞれの作成者も目的も違うからです。子どもの希望を書き込んだメモを、本人の決定と同じ扱いにしない。私は、本人がまだ迷っているなら、その迷いを残したまま専門家へ渡せる相談メモを作る方がよいと考えます。
遺言の不動産表示や取得者がはっきりしない場合は、曖昧な遺言書と登記前の確認も参照してください。既に相続が始まっていて遺言執行者が関わる売却なら、遺言執行者と実家売却の段取りという別の検討になります。生前の本人による保管撤回と混同しません。
返してもらうこと、書き直すこと、実家を売ること。この三つを一回の来庁で全部決めようとしない方が、相談の目的が明確になります。保管先の職員に尋ねる手続きと、弁護士などへ相談する遺言内容を分ける。持ち帰るべき答えを小さく区切るのが、私の提案です。
相談のメモには、本人が変えたいと思っている点と、ご家族が確認したい点を別の欄にします。「実家を売った後のことを相談したい」という本人の希望と、「今の遺言で誰が受け取るのか知りたい」という家族の疑問は同じではありません。答えを先に揃えず、それぞれの疑問を専門家へ渡してください。
返還後に原本をどこで保管するかも、予約前に考えておきたい事項です。家族が整理の途中で別の紙と混ぜたり、古い書類と判断して処分したりしないよう、本人の書類として分けます。返還後にどう変更するかが未定なら、原本へ書き込みをせず、そのまま専門家へ相談する資料として残します。
磐田・袋井の家族が今日確認する一つのこと
磐田市・袋井市に実家があるご家族は、まず本人に「原本を返してほしいのか、内容を確認したいのか」を尋ねてください。実家の所在地と原本の保管先が同じ地域とは限りません。保管先の情報を確認してから、予約や移動の予定を立てます。
今日、実家を売ると決める必要はありません。遺言を変更すると決める必要もありません。本人の目的と保管先が分かれば、それだけで次の相談は具体的になります。私は、返還の手続きだけを先走らせず、本人の判断に必要な材料をそろえる順で案内します。
磐田市・袋井市では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような地域密着の会社に相談するという選択肢があります。
よくある質問
次の回答は一般的な確認手順です。個別の事情は資料をそろえて専門家へ確認してください。
- 委任状があれば、子どもが受け取れますか?
- 確認した法務省の案内では、保管申請の撤回ができるのは遺言者本人のみです。家族の委任状で代理受領できる手続きとして案内されていません。本人が来庁しにくい事情がある場合は、原本の保管先へ対応を確認してください。ご家族は保管証や本人確認書類を探すなど、準備を手伝うところから始めます。
- 引越し先の法務局で返してもらえますか?
- 保管申請の撤回は、遺言書の原本が保管されている法務局で行うと案内されています。転居した住所に近い法務局を選べるとは限りません。保管証を確認し、原本の保管先へ予約と持参物を問い合わせます。氏名・住所等が保管申請時から変わっている場合は、変更を証する資料についても一緒に確認してください。
- 保管をやめれば、遺言内容の見直しも終わりますか?
- この記事で扱うのは、預けた原本を返してもらうための手続きです。遺言の内容変更や法的な効力の判断を、返還だけで済ませないでください。実家を売る予定、記載されている不動産、受け取る人を整理して、弁護士などの専門家へ相談します。保管申請の撤回を先に決めず、何を変更したいかを確認してから進めます。
売ると決める前の資料整理から
実家カルテで名義・道路・境界を整理し、実家じまい相談室で次の段取りを確認できます。相続の資料は相続はじめ相談室もご利用ください。
富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした一次情報
2026年10月25日確認(2026年10月確認)。公表日が不明な資料は、確認日を公表日として扱っていません。
本記事は2026年10月25日に確認した一次資料を基にした一般的な説明です。制度・数値・手続は変わる場合があります。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家に確認を。
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