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立退料は売却経費?4つの税務上の違い

2026年10月27日|カテゴリ:売却費用・税務

立退料は売却経費?4つの税務上の違い。売却・賃貸・取得の目的を分けるを確認する記事の表紙。

Q. 借主に払う立退料は、全部売却の経費にできますか?

A. 一律には扱えません。国税庁は売却のための立退料、不動産所得の必要経費となるもの、取得費となるものを区別しています。誰が何のために支払うか、貸しているのが建物か土地かを整理し、個別の税務区分は税理士に確認します。

貸している家を売る相談では、売値だけでなく、退去を伴う場合の支出も気になります。立退料を払うとしたら、売却の経費に入るのか。手元に残るお金を考えるうえで、先に確認したい疑問です。

大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士として、私は支出の総額と、税金の計算で差し引く金額を別々に整理したいと考えています。同じ「立退料」という名前でも、国税庁の説明は一つの扱いにまとめていません。

立退料は、払った目的によって4つに分かれる

国税庁No.1382「立退料を支払ったとき」は、売却、賃貸運営、取得、借地権の買戻しに関わる四つの扱いを示しています。2026年10月27日に確認した本文は、2026年4月1日現在の法令等に基づく表示です。この日付を、制度が改正された日とは扱いません。

税務上の譲渡費用は、土地や建物を売るために直接かかった費用です。取得費は、取得に要した費用などを指します。不動産所得の必要経費は、賃貸収入などに関する所得計算の側で扱います。いずれも家計から出たお金ではありますが、同じ計算欄へ入れるものではありません。

私は、国税庁が目的別に区分を示している点を評価します。何を確認すればよいか、家族と専門家が同じ表を見て話せるからです。そのうえで、見積書や家族の収支表にも支払目的を残したい。名前が同じだから同じ税務区分だと決めるのは避けるべきです。

国税庁の立退料の4区分を、売却目的の譲渡費用、賃貸運営に関する必要経費、取得時の取得費、借地権の買戻しによる土地の取得費に分けて示す説明図。具体的な支出の区分は税理士へ確認する。
本文の確認事項を整理した説明図。実際の設備・書類の写真ではありません。

売却のための立退料と、賃貸運営の費用を分ける

国税庁は、賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料を、譲渡所得の計算で控除する費用と説明しています。貸家を売るため、借主に明け渡してもらう際の支払が、ここで確認する区分です。

一方、売却のための支払に該当しない場合で、不動産所得の基因となった建物の賃借人を立ち退かせるための立退料は、不動産所得の必要経費になるとしています。「家を貸していた」という事情だけで、すべて譲渡費用になるわけではありません。

家族のメモには、「売る予定があった」だけでなく、何のために退去の合意をしたかを書きます。賃貸を続ける計画だったのか、売却に向けて進めたのか。途中で方針が変わった場合は、その時期も残します。税務上の結論を自分で書き切るためではなく、専門家が事情を確認できるようにするためです。

国税庁No.3255「譲渡費用となるもの」にも、貸家を売るために借家人へ支払う立退料が挙げられています。同じページは、修繕費や固定資産税など、維持や管理にかかった費用を譲渡費用に含めないと説明しています。売却前に払ったお金なら何でも売却経費、という考え方にはなっていません。

費用を分ける基本は、測量費と譲渡費用の関係にもつながります。領収書があることに加え、売却との関係が説明できるかを確認します。費用名を後から書き換えて区分を合わせるのではなく、実際の契約と支払の経緯を残してください。

取得時の支払と、借地権の買戻しは取得費の側へ

国税庁は、土地や建物を取得する際に、使用していた人へ支払った立退料を、取得費または取得価額になると説明しています。物件を買う側で支払ったお金と、持っている物件を売るために支払うお金では、見るべき区分が変わります。

さらに、敷地だけを貸し、建物の所有者が借地人である場合が示されています。借地人に立ち退いてもらうための立退料は、通常は借地権の買戻し対価となり、土地の取得費になるという説明です。「通常」という限定を落として、一律の結論にはしません。

貸家では、貸主が所有する建物を借主が使います。借地では、土地を借りた人が建物を所有している場合があります。どちらも日常会話では「貸している不動産」と呼べますが、建物を誰が持っているかで、確認する契約が違います。建物の名義と賃貸借契約の対象を先に並べます。

国税庁が示す場面税務上の扱い
貸している建物・敷地を売るため譲渡所得の計算で控除する費用
上記以外の賃貸建物の立退き不動産所得の必要経費
土地建物を取得するとき取得費または取得価額
借地人所有の建物がある敷地通常は借地権の買戻し対価として土地の取得費

この表は税務の整理であり、退去を求められるか、いくらなら合意できるかを示す表ではありません。立退きの条件や合意の有効性は、別の確認が必要です。借主との交渉を費用の表だけで進めず、個別の法的判断は弁護士へ確認します。

100万円を払うことと、税金が100万円減ることは違う

譲渡費用は、売却による所得を計算する際に差し引く項目です。立退料が譲渡費用に当たる場合でも、支払額がそのまま税額から引かれるわけではありません。手取りの話では、資金の支出と所得の計算を二段階に分けます。

例えば、立退料として100万円を支払うと仮定します。これは相場ではなく、説明用の仮定です。家計の支出欄には100万円が出ていく予定を書きます。税務の欄には、譲渡費用として扱えるかを確認中と記します。認められた場合も、税金の減少額を100万円とは書きません。

税率や取得費、適用する特例によって、税額の結果は変わります。税率が分からない段階で「この費用は経費になるから実質負担は小さい」と案内することはできません。税引後の金額は、税理士の試算を受けてから収支表へ反映します。

退去合意に基づく支払が残代金の受領より前なら、売却完了前の資金も考える必要があります。いつ払う約束か、どの預金から用意するかを確認します。売値から費用を引いた最終結果だけでなく、途中で必要になる現金を見ます。売却を手取りで考える方法では、他の費用も含めて整理しています。

敷金の返還や引継ぎも別の欄に置きます。立退料の合意額に何が含まれるのかが曖昧だと、同じお金を二重に見積もるおそれがあります。貸家売却時の敷金の扱いと照らし、名称、相手、金額を分けて書いてください。

私は、支払う前に目的と資料をそろえる

立退料の税務相談では、支払額だけでなく、賃貸借契約や退去合意、売却計画が分かる資料を用意する方法を私は勧めます。資料が不足する部分を明確にしておけば、まだ決まっていない支払を、確定済みの費用として計算せずに済みます。

私なら、紙の左側に実際に出ていくお金、右側に税務上の確認欄を作ります。左には支払先と期限を書き、右には税理士へ確認する事項を残します。「経費になるはず」という家族の見込みを、そのまま現金の残高に混ぜたくありません。売却代金で次の住まいや介護の費用を考えるなら、使えるお金の見込みを慎重に置きたいからです。これは私の考え方であり、特定の相談や取引の実話ではありません。

迷うのは、売却計画と退去の事情が途中で変わった場合です。どの時点の資料で支払目的を説明できるか、私だけでは税務判断を確定できません。分からない部分は残し、時系列のメモを付けて専門家へ渡します。曖昧なまま「全部経費」と言い切らないことが、売主への責任だと考えます。

今日の確認は、賃貸借契約書で貸している対象を一つ確かめることです。建物なのか土地なのか、建物の所有者は誰か。その後に、売るための支払なのかを整理します。支払前なら、退去合意に含まれる項目と、支払時期も確認してください。

国土交通省が定める10月の土地月間を、費用の棚卸しに使うのも一つの方法です。新しい控除が始まったという話ではありません。私は、売却を急がせるより、家族が資金の見込みを間違えない材料をそろえて案内します。個別の税務区分は税理士、退去や契約の判断は弁護士など専門家に確認を。

磐田市・袋井市では、介護施設の運営から不動産事業を始めた富士ヶ丘サービスのような地域密着の会社に相談するという選択肢があります。

よくある質問

次の回答は一般的な確認手順です。個別の事情は資料をそろえて専門家へ確認してください。

貸家を売るための立退料は譲渡費用ですか?
国税庁は、賃貸建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料を、譲渡所得の計算で控除する費用と説明しています。ただし、領収書の名目だけで個別の支出を確定するものではありません。賃貸借契約、退去の合意、売却計画、支払記録をそろえ、売却との関係を税理士に確認してください。
借地人に払う立退料も同じ扱いですか?
土地だけを貸し、建物を借地人が所有している場合について、国税庁は通常、借地権の買戻し対価として土地の取得費になると説明しています。貸家の借主へ支払う場合と同じ表には入れないでください。建物の所有者と賃貸借の対象を確認し、契約内容や支払の内訳を税理士に示して判断を受けます。
立退料を払えば、その金額だけ税金が減りますか?
費用として認められることと、同額の税金が減ることは別です。譲渡費用は売却による所得を計算する際に差し引くもので、支払額がそのまま税額から引かれる仕組みではありません。適用税率や特例などで結果が変わります。実際の資金支出と税金の見込みを分けて、税理士に試算を依頼してください。
著者・大石浩之(磐田市の不動産業・宅地建物取引士)の顔写真

大石浩之|磐田市|不動産業・宅地建物取引士

執筆:大石浩之(宅地建物取引士・代表取締役)

富士ヶ丘サービス株式会社。介護と不動産を一体で相談し、磐田市・袋井市・森町で家族の段取りを整理します。

著者プロフィール

売ると決める前の資料整理から

実家カルテで名義・道路・境界を整理し、実家じまい相談室で次の段取りを確認できます。相続の資料は相続はじめ相談室もご利用ください。

富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308

参考にした一次情報

2026年10月27日確認(2026年10月確認)。公表日が不明な資料は、確認日を公表日として扱っていません。

本記事は2026年10月27日に確認した一次資料を基にした一般的な説明です。制度・数値・手続は変わる場合があります。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家に確認を。

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