自宅の夫婦間贈与、2000万円控除の条件
2026年10月29日|カテゴリ:贈与・自宅

Q. 自宅を配偶者名義にするなら、2000万円まで税金はかからない?
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産等を贈与する場合、要件を満たして贈与税を申告すると、基礎控除110万円とは別に最高2000万円を控除できます。翌年3月15日までの実際の居住と、その後も住む見込みが必要です。同じ配偶者からは一生に一度。控除額だけで名義を変えず、税務・登記は専門家に確認してください。
長く一緒に住んだ家を、配偶者の名義にしておきたい。その気持ちと、贈与税の控除が使えるかは分けて考える必要があります。「2000万円まで」という数字だけで登記を先に進めると、後から居住予定や書類の条件を確認する順番になります。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。私は、名義を変える前に「これから誰が、どこに住むのか」をご夫婦で書き出すことを勧めます。今回は親子の贈与ではなく、夫婦間で自宅等を贈与するときの特例に絞ります。2026年10月28日に国税庁の一次情報を確認しました。
2000万円は税額の値引きではない
贈与税の配偶者控除は、一定の要件を満たす居住用不動産等の贈与について、最高2000万円を控除する制度です。国税庁No.4452では、基礎控除110万円とは別に控除できると説明しています。2000万円の税金が返ってくる制度ではありません。
要件は、婚姻期間20年以上の夫婦間の贈与であることです。対象は居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭です。国税庁の要件欄では、婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与することとされています。結婚した年だけを見て判断せず、婚姻日と贈与予定日を確認してください。
この制度の良い点は、自宅を配偶者へ渡すことを考える際に、贈与税の負担を抑えられる選択肢になることです。私は、長年の暮らしを支えた相手に家を残したいという希望を、具体的な資料で検討できる点に意味を感じます。最初から贈与を否定する必要はありません。
ただし、私が注文したいのは「控除枠を使い切れば得」という決め方です。控除できる金額と、ご夫婦が実際に支払う金額は別の話です。申告や登記を依頼する際は、何の費用が見積もりに含まれるかまで確認します。私は贈与税の控除だけで、名義変更全体の費用がゼロになるとは案内しません。
| 見ている数字 | 確認する意味 |
|---|---|
| 最高2000万円 | 配偶者控除の上限。税額そのものではない |
| 110万円 | 配偶者控除とは別の基礎控除 |
| 家の査定額 | 売却の見込みを考える数字。税の評価額と区別する |
| 手続きの見積額 | 税額と専門家への依頼費用など、内訳を確認する |
国税庁No.4602では、贈与税の計算には土地や家屋の評価が必要と説明しています。土地には路線価方式や倍率方式があり、家屋は原則として固定資産税評価額を基にします。分譲マンションなどは別途確認が必要です。売却査定で2000万円と言われた家を、その数字のまま控除に当てはめることは避けてください。
親から子へ渡す話と混ぜないために、実家の生前贈与で確認する税負担と渡し方も読み分けてください。今回は、婚姻期間や居住予定を要件とする夫婦間の特例です。
2026年の贈与は2027年3月15日の居住を確認
2026年に贈与を受ける場合、2027年3月15日までに、贈与等で取得した居住用不動産に受贈者が現実に住んでいる必要があります。国税庁No.4452は、その後も引き続き住む見込みがあることも要件にしています。名義だけを移せば済む条件ではありません。
私は、年内に贈与するかを考えるなら、年末の予定表だけでなく翌年春の住まいも確認します。たとえば、ご夫婦で自宅に住み続ける予定なのか、子の家へ転居を考えているのか。決まっていないなら、決まっていないと専門家に伝える方が、その後の判断を誤りにくくなります。
住み替えや施設への入居を考え始めたご家庭では、暮らしの予定を一つに決められないこともあります。私は、その時点で贈与を進めるべきか迷います。安心のために名義を変えるつもりでも、住む場所の選択を狭めてしまっては順番が逆です。個別の事情で要件を満たすかは、私だけでは判断できません。
なお、同じ配偶者からの贈与について、この配偶者控除は一生に一度です。国税庁No.4452が明記しています。毎年2000万円の枠が復活する扱いではありません。過去に利用したか記憶が曖昧なら、以前の申告書や税理士との記録を探すことから始めてください。
土地だけ・建物だけでも、対象を確かめる
贈与税の配偶者控除は、必ず土地と建物を一緒に渡さなければ使えない制度ではありません。国税庁No.4455では、居住用家屋だけ、または敷地だけの贈与も対象になり得ると説明しています。家を丸ごと渡す話だと思っていた方には、意外な点です。
敷地だけの場合には、夫または妻が居住用家屋を所有しているなどの条件があります。同居する親族が家屋を所有している場合も示されています。敷地の一部の贈与についても説明があります。ただし、土地の一部という言葉だけで、ご自宅の名義変更案がそのまま適用できるとは決めないでください。
私は、登記事項を土地と建物に分けて確認するよう案内します。住んでいる人と所有者が同じとは限らず、持分が分かれている場合もあるからです。持分とは、その不動産について持っている所有権の割合です。共有のままにする案なら、実家を共有名義にするときの確認事項も併せて整理します。
贈与の対象を相談するときは、「自宅を妻に」だけでは資料が足りません。土地の地番、建物の家屋番号、現在の所有者と持分をそろえると、何を渡す案なのかを専門家と共有できます。手元の書類から分かる範囲を記入し、不明な欄は空欄のままで構いません。
磐田・袋井の自宅は、名義より先に暮らしの予定を整理
贈与税の配偶者控除を使うには、必要書類を添付した贈与税の申告が必要です。国税庁No.4452では、贈与の日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本等と、戸籍の附票の写しを挙げています。書類は、早く取得すればよいとは限りません。
不動産の取得を示す登記事項証明書その他の書類も挙げられています。不動産番号を申告書に記載するなど、登記事項証明書の添付を省略できる方法もあります。不動産自体の贈与では評価明細書などの提出も案内されています。必要な一式は、申告方法と併せて税理士や税務署に確認してください。
私はこう考えます。ご夫婦の話合いでは、最初から贈与する割合を決めるより、今の家に住み続ける予定と名義を変えたい理由を一枚に書く方が役に立ちます。手元には登記の資料、固定資産税の課税明細、過去の贈与税の申告書を並べます。分からない点を空欄で残せば、相談先へ聞くことが見えます。今日の成果は名義変更の決断ではなく、二人が同じ材料で話せる状態をつくることです。
| 今日そろえる材料 | 相談で確かめること |
|---|---|
| 婚姻日・贈与予定日 | 婚姻期間の要件を満たすか |
| 土地・建物の名義と持分 | 何をどこまで贈与するか |
| 翌年春以降の居住予定 | 実際の居住と継続の見込み |
| 過去の申告書・課税明細 | 利用歴、評価、申告書類 |
税務の適用と登記の手続きは、相談する内容を分けます。窓口の選び方に迷う場合は、不動産の相談先を整理する記事を参考にしてください。私は、控除が使えるか、手続きに何が必要か、これからどう住むかを並べてから案内します。年内贈与を見送る選択も含め、税理士・司法書士等への確認後に決めてください。
よくある質問
自宅の夫婦間贈与について、申告・対象財産・居住予定の疑問を整理します。
- 2000万円以下の家なら申告しなくてよいですか?
- 贈与税の配偶者控除を受けるには、必要書類を添えて贈与税の申告をする必要があります。控除を使った結果、納める税額がなくなる場合も、申告不要とは判断しないでください。家の売却査定額と贈与税の評価額は同じとは限りません。他の贈与の有無も伝え、評価額、適用要件、申告の方法を税理士や税務署に確認してください。
- 土地と建物を両方贈与しないと使えませんか?
- 国税庁No.4455では、居住用の家屋と敷地を一括して贈与する必要はないと説明しています。家屋だけ、敷地だけでも対象になり得ます。ただし敷地だけの場合は、家屋を誰が所有しているかなどの条件があります。土地と建物の登記事項を別々に確認し、贈与する対象と持分を税理士・司法書士に示して判断を受けてください。
- 近いうちに住み替える予定でも使えますか?
- 贈与を受けた翌年3月15日までに実際に住み、その後も引き続き住む見込みがあることが要件です。住み替えを予定している場合、名義を変える日だけでは判断できません。転居先や時期が未定なら未定のまま伝え、贈与の時点での事情を税理士等に確認してください。控除を使うためだけに、住み続ける予定があることにしないでください。
売ると決める前の資料整理から
実家カルテで名義・道路・境界を整理し、実家じまい相談室で次の段取りを確認できます。相続の資料は相続はじめ相談室もご利用ください。
富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした一次情報
2026年10月28日確認(2026年10月確認)。各ページの法令等の基準日は2026年4月1日です。
本記事は2026年10月28日に確認した一般情報です。制度・数値・窓口の取扱いは変わる場合があります。贈与税の評価・控除の適用・申告要否は税理士や税務署に確認してください。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、各分野の専門家に確認を。
