相続した貸家の家賃、3人なら誰が申告?
2026年10月28日|カテゴリ:相続・貸家

Q. 家賃は長男の口座へ。相続人3人分を長男が申告していい?
遺言がなく、子3人だけで遺産分割協議中の貸家では、家賃を長男の口座で受け取っていても、未分割期間の不動産所得は各相続人が法定相続分に応じて申告する扱いです。後の分割確定だけで過去の所得の帰属は変わりません。実際の申告要否・金額は税理士等に確認してください。
親の貸家を誰が引き継ぐか、まだ決まっていない。家賃だけは長男の口座に入っている。このとき「口座を管理している長男が、家賃を全部申告すればよい」とは限りません。家賃を受け取る役割と、所得が誰に帰属するかは分けて確認します。
大石浩之(磐田市/不動産業)です。宅地建物取引士の立場から、今回は貸家の分け方ではなく、分割が決まるまでの家賃の扱いを整理します。国税庁の案内を2026年10月28日に確認しました。年末前の資料整理を考える記事であり、新しい制度の紹介ではありません。
長男の口座に入っても、長男だけの所得とは限らない
未分割の貸家から生じる不動産所得は、入金口座の名義だけで申告者を決めません。国税庁の「未分割遺産から生ずる不動産所得」は、父が亡くなり、遺言がなく、子3人が協議中という事例を示しています。家賃収入は長男の口座に入る設定です。
国税庁は、この場合、遺産分割が確定するまでは各共同相続人が法定相続分に応じて申告すると説明しています。法定相続分とは、法律で定められた相続の割合です。代表者が収益を管理していても、それだけで代表者一人に所得が集まる扱いにはなりません。
この案内の良い点は、代表口座で管理する事例を具体的に示していることです。私は、振込先という目に見える情報から、税務上の帰属を分けて考える出発点になると受け止めています。ご家族が同じ説明を読めば、誰が資料を必要としているかも整理できます。
その上で、私は説明を読んだだけで作業を終えない方がよいと考えます。入金の明細を一人しか持っていなければ、他の相続人は数字を確認できません。家賃を受け取った人が資料を整理し、申告する人が同じ資料を見られる。その段取りまで決めておきたいのです。
私はこう考えます。代表者の仕事は、通帳を持っていることだけでは終わりません。家賃の明細と支出の資料をそろえ、他の相続人が自分の申告について相談できる状態にする。家族の話合いが続いていても、この準備は分けて進められます。誰が家を引き継ぐかという結論と、今ある数字を共有する作業を一緒にすると、両方が止まります。私は、まず一か月分の資料を全員が見られる形にするよう案内します。
子3人の例は、人数だけで読み替えない
相続人が3人というだけで、不動産所得が必ず3分の1ずつになるわけではありません。国税庁No.4132は、配偶者と子が相続人なら、配偶者が2分の1、子全員で2分の1と説明しています。人数の前に、誰が相続人なのかを確認します。
ここでは、遺言がなく、配偶者がおらず、子3人だけが相続人という前提に絞ります。相続放棄など割合に影響する事情はないものとします。この前提なら、各人の法定相続分は3分の1です。実際の家族構成や遺言が違う場合は、同じ表をそのまま使えません。
| 分けて見る項目 | 子3人だけの事例での整理 |
|---|---|
| 家賃の受取口座 | 長男の口座でまとめて管理 |
| 未分割期間の所得の帰属 | 各人の法定相続分に応じる |
| 各人の割合 | この前提では各3分の1 |
| 各人の税額 | 割合だけでは決まらず、個別に確認 |
国税庁No.1370による不動産所得の計算は、総収入金額から必要経費を引く形です。必要経費の例には、貸付資産に係る固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費が挙げられています。家賃の入金額と、申告に使う所得の金額は同じとは限りません。
たとえば、未分割期間の総収入90万円、必要経費30万円と確認できた仮の例を考えます。差額の不動産所得は60万円です。全体を各3分の1とする前提なら、一人分の所得は20万円になります。これは割合の説明用の計算で、各人の納税額や申告不要となる基準を示したものではありません。
私は、管理会社からの送金額だけを見て計算しないよう案内します。管理料などが差し引かれている場合、通帳の金額だけでは元の家賃と支出を分けられません。契約書、送金明細、領収書を並べて、何を収入・経費として扱うか税理士へ確認してください。
分割が決まっても、過去の家賃を付け替えない
遺産分割が後から確定しても、未分割期間の所得の帰属は、その分割だけで変わりません。国税庁の質疑は、分割確定を理由とした更正の請求や修正申告はできないと説明しています。後で貸家を取得した人へ、過去の所得もすべて移す考え方にはなりません。
更正の請求は、納め過ぎた税額などについて訂正を求める手続です。修正申告は、申告した税額が不足していた場合などの訂正です。今回の説明は「後で分割が決まった」という理由に限ります。入力漏れや別の誤りがあった場合まで、訂正できないという意味ではありません。
私は、貸家の名義を決める話合いと、未分割期間の収支の確認を別の紙にするよう案内します。取得者が決まった書類だけで、家賃の履歴を説明しようとしないためです。財産の共有そのものは、実家を共有名義にする場合の確認事項で整理しています。
年の途中に分割が確定した場合は、いつ確定したかが分かる書類も残してください。私は、記録に日付を書かず「秋に決まった」で済ませない方がよいと考えます。税理士が期間を確認できる資料があれば、家族の記憶を何度もたどる負担を減らせます。
家賃をいつの収入として記録するかにも注意が必要です。国税庁No.1376は、支払日が契約などで定められている家賃について、原則としてその支払日を計上時期としています。入金が遅れた家賃や翌月分の家賃がある場合は、通帳の日付だけで区切らず、契約内容を税理士へ示してください。
磐田・袋井の貸家は、年末前に同じ資料をそろえる
磐田市・袋井市の貸家を相続したご家族も、所得の帰属は国税庁の案内を基に確認します。地域が違うから口座名義だけで扱いが変わる、という説明はしません。離れて暮らす相続人同士でも確認できるよう、私は次の資料を一組にする方法を提案します。
| 資料 | 確認しておく内容 |
|---|---|
| 相続関係の書類 | 相続人、遺言の有無、分割の進行状況 |
| 賃貸借契約書 | 月額家賃、支払日、共益費や預り金 |
| 通帳・送金明細 | 対象月、入金日、差し引かれた費用 |
| 支出の資料 | 税金・保険・修繕などの内容と支払者 |
資料を集める担当と、税理士へ質問をまとめる担当は、同じ人でも別の人でも構いません。ただ、相続人ごとに違う集計表を作ると、差が出た理由を探す作業が増えます。元の資料を共有し、分からない欄を空欄のまま残す方法を私は勧めます。
私にも迷うところがあります。家族の負担を減らすために代表者へまとめる方が早いのか、それぞれが直接相談する方が誤解を減らせるのか。ご家族の関係を知らずに一方へ決めることはできません。だから私は、最初に全員へ同じ収支資料を渡すところまではそろえ、その先の相談方法を選ぶよう案内します。
家賃の帰属を確認しても、青色申告の申請まで済むわけではありません。別の手続は賃貸不動産を相続した人の青色申告期限で確認できます。敷金などを家賃と一緒に集計しないためには、貸家の敷金と資料の整理も参考になります。
今日、貸家を売るか持ち続けるかまで決める必要はありません。まず一か月分の家賃明細と契約書を並べ、誰が資料を持っているかを確認する。その一歩が、未分割期間の申告を相談する準備になります。相談相手が分からなければ、相続不動産の相談先の分け方を確認してください。
富士ヶ丘サービスでは、介護と不動産を一体で相談し、磐田・袋井のご家族が動く順番を整理します。私は貸家の契約や管理資料を整える側から支援し、個別の申告要否・所得計算は税理士や税務署へつなぐよう案内します。
よくある質問
未分割の貸家の家賃について、所得の帰属と申告前の確認を整理します。
- 家賃をまだ兄弟へ送金していなくても申告しますか?
- 国税庁の事例では、遺言がなく子3人が協議中の家賃を長男が管理していても、未分割期間は法定相続分に応じて各人が申告する扱いです。代表者から実際に送金されたかだけで、所得の帰属は決めません。ただし、各人に申告が必要かどうかは他の所得なども関係します。家賃と支出の資料を共有し、税理士等に確認してください。
- 後から長男が貸家を相続したら、申告を直しますか?
- 国税庁は、遺産分割の確定が未分割期間の所得帰属に影響しないと説明しています。分割確定だけを理由に、更正の請求や修正申告をして長男へ所得をまとめ直すことはできません。一方、申告時の入力漏れなど別の誤りまで訂正できないという意味ではありません。訂正が必要と思われる場合は、理由と資料を税理士等に確認してください。
- 家賃の入金額を3で割れば申告できますか?
- 入金額を3で割るだけでは、不動産所得や税額は確定しません。不動産所得は総収入から必要経費を差し引いて計算します。各3分の1という割合も、遺言がなく相続人が子3人だけという前提の例です。配偶者の有無、相続放棄などにより扱いは変わります。家族構成、契約書、送金明細、支出資料をそろえ、個別に確認してください。
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富士ヶ丘サービス株式会社|0538-31-3308
参考にした一次情報
2026年10月28日確認(2026年10月確認)。各ページの法令等の基準日は2026年4月1日です。
本記事は2026年10月28日に確認した一般情報です。制度・数値・窓口の取扱いは変わる場合があります。所得の帰属・必要経費・申告要否は税理士や税務署に確認してください。重要事項・税務・登記・相続・契約の個別判断は、各分野の専門家に確認を。
