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借地権売却の名義書換料|年内にそろえる2つの書類

2026年11月5日|売却費用・税金

借地権の売却に伴う名義書換料をテーマに、地主の承諾書と支払明細を照合する本記事の表紙。

この記事の要点

Q. 地主へ振り込んだ名義書換料は、実家を売ったときの費用にできますか?

A. 借地権を売るために地主の承諾を得て支払った名義書換料は、国税庁が譲渡費用に挙げています。地主の承諾書で支払った理由を、支払明細で相手と金額を確かめます。一緒に精算した地代があれば分け、内訳がわかる状態で税理士に渡します。

地主へ払ったお金のうち、何が売却の費用になるか

大石浩之(磐田市/不動産業)です。借地に建つ実家を売ったあと、ご家族の手元には、建物の売買契約書と地主への振込記録が残ります。年末に書類を整理するなら、その二つの間に一枚、地主が借地権の譲渡を承諾したときの書類を挟んでください。「いくら払ったか」に加え、「何のために払ったか」が見えるようになります。

国税庁のタックスアンサーNo.3255は、譲渡費用を土地や建物を売るために直接かかった費用と説明しています。2026年4月1日現在の法令等に基づく案内です。「主な譲渡費用」の(6)には、借地権を売る際、地主の承諾を得るために支払った名義書換料などが挙がっています。11月5日に本文を確認しました。

借地権付きの実家では、建物を持つ方と、その下の土地を持つ方が異なります。家族の記憶では一言で「実家を売った」でも、書類には、建物を買う人、借地権を譲る人、土地を貸している人がそれぞれ登場します。誰から誰への承諾なのかを見失ったら、まず福田の借地上の実家を売るときに確かめることから読み返せます。

一枚目の承諾書で、支払った理由を読む

地主の承諾書で探すのは、どの土地の借地権を、誰から誰へ譲ることについて承諾したか、という記載です。表題が「承諾書」でも、「増改築を認める」という内容と「借地権を買主へ譲渡することを認める」という内容では、説明できる事柄が違います。売買契約書の物件表示を横に置き、同じ土地についての書面かを確認します。

次に、金額が書かれている箇所を探します。「別紙のとおり」とあれば、その別紙を一緒にします。手元の写しに別紙がなければ、持っているページまでを一組にし、「承諾料の内訳が載った別紙を照会中」と付箋に書きます。金額が載るはずの場所がわかれば、相手にも何を送ってほしいかが伝わります。

家族に渡すコピーへ印をつけるなら、土地の所在、譲渡の相手、承諾の対象、金額の四か所です。記入日の近い古い書類を誤って選ぶことも想定し、今回の買主の名前を確かめます。原本には書き込まず、写しに「地主との借地契約の更新時」「今回の譲渡時」など見つかった書類の役割を書き分けてください。

二枚目の支払明細で、実際に動いた金額を追う

支払明細で押さえるのは、日付、支払った人、受け取った人、金額です。振込明細があれば承諾書の金額と見比べます。領収書を受け取っていれば、その但し書きも読みます。書類を二つ用意するのは、私が売主に勧める整理の方法です。国税庁No.3255が申告に必要な書類を二つに指定している、という意味ではありません。

預金通帳には地主への送金が一行で載っていても、支払目的の欄はありません。通帳の該当行だけを見て、年内に地主へ振り込んだ金額をすべて足してしまうと、毎月払っていた地代まで一緒に入ります。最初に、売買の精算書にある日付を起点にして、その前後に交わした書面を探すほうが作業を絞れます。

代金の精算時に差し引かれ、売主の通帳に個別の振込が現れない形なら、仲介会社に決済時の精算書を確認します。どの欄で、誰の受取分から、誰に渡すお金を引いたのかを辿れるかが目安です。精算予定表しか見つからない場合は、予定額と実際の受取額を区別し、精算後に渡された控えがあるかを尋ねます。

振込48万円の例で、承諾料と地代を分ける

架空の例で考えます。借地上の家を売った方が地主へ48万円を振り込み、承諾書には今回の譲渡を認める対価として45万円と書かれています。地主から受け取った明細の残りの一行は、引渡しまでの通常の地代3万円です。金額は説明用の仮定で、磐田の相場や地主へ支払う標準額を示すものではありません。

書類の余白に合計の式を書きます。45万円と3万円を足すと、支払明細の48万円に一致します。税理士に渡すメモのうち、借地権の売却に伴う名義書換料の候補欄へ移すのは45万円です。通常の地代3万円は別の行に書き、期間や請求内容がわかる資料を添えます。48万円と45万円を二重に計上することも防げます。

仮に明細の合計48万円しかわからなければ、同じ計算はできません。「おそらく3万円は地代」と空欄を埋めず、振込額48万円と、内訳を地主に聞く必要があることだけを記録します。わかっていない数字には、その数字を知っている相手がいます。家族全員が通帳を何度も探すより、窓口を一人決めて照会するほうが早く進みます。

架空の支払明細の例。地主への振込合計48万円のうち45万円は承諾書で確認できる借地権譲渡の承諾料。残り3万円は通常の地代として別行に残す。
架空の精算例。地主への振込は一回でも、支払目的に沿って二行に分けられます。

書類の金額が違うときは、差額の行を残す

承諾書の額と送金額が違うときは、合うようにどちらかを書き換えず、金額と根拠の欄を二つ残します。たとえば当初の提示が50万円で、話し合いの後の支払が45万円なら、最初の依頼文と最終の合意書面にはそれぞれ役割があります。古い方に「当初の提示」、新しい方に「最終の合意」と日付を添えれば、差が出た理由を説明できます。

一つの領収書に複数の代金が並ぶ場合は、名目を自分で付け替えず、そのまま書き写します。「精算金一式」しかないなら、地主や管理を受託している窓口に「今回の借地権譲渡の承諾に対応する金額と、それ以外の項目を教えてください」と依頼できます。受け取った回答と元の領収書を同じ袋に入れておきます。

売却のために直接かかったかという見方は、別の費目でも使えます。境界を確かめるための出費が一緒にある方には、測量費を譲渡費用として整理する際の資料が参考になります。土地を買ったときの資料が混じったら、実家の取得費と税金の考え方を手掛かりに、「取得したとき」と「手放したとき」で封筒を分けてください。

年内に家族から税理士へ渡す一枚を作る

私は、国税庁の説明に「地主の承諾」という相手と目的が一緒に書いてある点がよいと考えます。領収書の表題だけでは拾いづらい支払いでも、売買契約、地主の承諾、実際の支払いという順番に並べれば、税理士へ聞く内容が具体的になるからです。売主が自分でできるのは、その順番を見えるようにするところまでです。

一方で、私も判断に迷うのは、親御さんの通帳に古い「書換料」という摘要しか残っていない場合です。建物を売った日が近いという事情だけで、承諾の相手や内容を決めてしまうのは無理があります。書類がそろう前に手取りを示すなら、支払済みの現金と、税務上の扱いが確認できた費用を別々に示したい。私はそう考えます。

今日できるのは、売主側の連絡担当が一枚の紙に「土地の所在・借地人・買主・地主・承諾の日・支払の日」を並べることです。その下に金額の内訳と、まだ届いていない資料を記入します。受け取り方を尋ねる連絡は担当一人にまとめ、返事をもらった日も書き添えます。翌年に別の家族が申告の準備を引き受けても、何を確認すればよいかが残ります。

よくある質問

名義書換料を45万円払えば、税金も45万円減りますか?

譲渡費用として認められた額は、譲渡所得を計算する際に売却代金から差し引きます。払った額がそのまま税額から引かれる仕組みではありません。手取りの試算では、地主に実際に支払った現金と、申告で計算する所得・税額を分けます。適用される税率や特例を含む個別の金額は税理士に確認してください。

承諾書はあるのに、地主の領収書が見つかりません。どうすればよいですか?

まず承諾書に書かれた金額と相手の名義を控え、振込明細や決済時の精算書に対応する記録があるかを探します。現金で渡した場合も、受け取った方に支払日、目的、金額がわかる控えを照会できます。そろった資料と不足する資料を区別し、申告に使える証拠について税理士に確認してください。

年内に書類がそろわなければ、名義書換料の扱いは決まってしまいますか?

この記事の「年内」は、ご家族で書類を探す時期の目安です。国税庁No.3255が示す判定の軸は、借地権を売るために直接かかった費用かどうかです。見つかった資料は先に保管し、承諾と支払いの日付を控えます。売買と精算が年をまたぐ場合の申告時期や費用の扱いは、日程を示して税理士に確認を。

著者・大石浩之、磐田市の不動産業・宅地建物取引士の顔写真。

執筆:大石浩之(宅地建物取引士・代表取締役)

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参考にした公式情報

2026年11月5日確認。

本記事は2026年4月1日現在の法令等に基づく国税庁の案内を参照しています。制度は変わることがあります。個別の税務判断は、書類をそろえて税理士などの専門家に確認を。